小説感想 古川日出男「二〇〇二年のスロウ・ボート」



二〇〇二年のスロウ・ボート (文春文庫 (ふ25-1))

二〇〇二年のスロウ・ボート (文春文庫 (ふ25-1))


この文章は僕自身のエクソダス───『出トウキョウ記』であり、その失敗の記録だ。(本文より)
小学五年生の夏からはじまる三つのボーイ・ミーツ・ガール。トウキョウに突きつけるノオと、愛憎。それは三たびの喪失であり、三たびの敗北だった。言葉でビートをきざむ古川日出男がとどける愛のかたち。著者自身による解題を収録。



150ページもない薄い本なのに、異様なまでにインパクトがありますですよ。
それが何かと問われると、ワシの拙い伝達能力では満足に説明できず、返答に窮してしまうのがオチなのですけれども(;´Д`)


………あれだ、ワシが尊敬してやまない漫画家・島本和彦が良いセリフを使っているので、それを引用して感想と変えよう。*1



「なるほど、グッとくるいい話ですねっ」


グッとくるいい話…そうだ、おれたちはそのために生きている…
グッとくる話にふれる喜びと、グッとくる話をつくりだす喜びだ!


人生グッとこなくて何の人生ぞ!





そして本家である村上春樹「中国行きのスロウ・ボート」もちょっぴり興味が湧いてきましたよ。買ってみようかしらん?

*1:「炎の筆魂 島本和彦傑作選」あとがきより