フランク・ティリエ「GATACA」(上下)



GATACA(上) (ハヤカワ文庫NV)

GATACA(上) (ハヤカワ文庫NV)



GATACA(下) (ハヤカワ文庫NV)

GATACA(下) (ハヤカワ文庫NV)


シンドロームE事件を経てリューシーは警察の職を辞し、恋人のシャルコ警視とも別れてしまった。あるときリューシーはある憎む犯人が、刑務所で自らの動脈を自らの指で断ち切るという死を遂げたことを知る。独房の壁には上下逆さまの奇妙な風景画が……リューシーは事件の真相を探り出そうと決意する。そのころ傷心のシャルコも、研究所で女子学生がチンパンジーに惨殺される事件に遭遇していた。ふたりの捜査は、それぞれに奇怪な絵図を描きはじめていた。フランス・ミステリ界の鬼才が放つ大作!



遺伝子すげぇ。


まぁネタとしてはトンデモ系なのでありますが、無理が通れば道理が引っ込むと言いますか、とにかくこのトンデモネタを(少なくとも作中では)成立させようと作中で理論につぐ理論を重ねておりまして、序盤は「んなことあるかい」と思っていたワシでありますが終盤では「お、おう・・・」と納得せざるを得ない状態にさせてしまったこのティリエの豪腕っぷりに脱帽するしかない次第でありますよ。この壮大なスケールで展開されるノンストップサスペンスに皆酔いしれるがよいよいよい。


あとすげぇと思ったのは作中のリューシーの扱い。どう凄かったかは秘密にしておきますが、「ティリエはドSやな」とシミジミ思ったワシでありました。いやもうこれ凄いよほんと。皆読ンでこの衝撃を確かめるがよい。