小説感想 山口雅也「モンスターズ」



モンスターズ

モンスターズ


誰のなかにも潜んでいるモンスター。
それに乗っ取られた時に始まるミステリ。
深く、濃く、そしてゆっくりと謎は深まる・・・
『ミステリーズ』『マニアックス』に続くシリーズ第3弾。



うむ、素晴らしい。


まぁワシは山口雅也ファンなので氏の著作なら大抵のものは面白がれるんですが。


収録作は6篇、どれもこれも奇妙に捻じ曲がったミステリ。本格ミステリのジャンルに分類される作品はなく、どれもこれも山口氏が「こんなのが書きたかったから仕方じゃない!」と言わんばかりの広い広ーい意味でのミステリ・・・てゆーか異色短篇集にございます。というわけで本格ミステリしか読めねーYO!という人は全力でスルーするが吉。


ワシとしてはこの山口ワールドの奇妙な世界がすげぇツボに入るので、どれもこれも大変楽しく読めました。「もう一人の私がもう一人」は山口氏お得意の「シュレディンガーの猫」テーマかつ「ドッペルゲンガー」ネタというまさにザ・山口ミステリという作品。この捻くれ感が実にたまらん。「箱の中の中」はマニアックなまでの偏執という名の狂気っぷりがステキ極まりない。表題作「モンスターズ」は怪奇小説的味わいがあるのですがどーみてもバカミスです本当にありがとうございました。


ヘンな話が好きな人とかこのシリーズのファンなら迷う事無く買うがよいよいよい。