フランク・ティリエ「GATACA」(上下)
- 作者: フランク・ティリエ,平岡敦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/05/24
- メディア: 文庫
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- 作者: フランク・ティリエ,平岡敦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/05/24
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シンドロームE事件を経てリューシーは警察の職を辞し、恋人のシャルコ警視とも別れてしまった。あるときリューシーはある憎む犯人が、刑務所で自らの動脈を自らの指で断ち切るという死を遂げたことを知る。独房の壁には上下逆さまの奇妙な風景画が……リューシーは事件の真相を探り出そうと決意する。そのころ傷心のシャルコも、研究所で女子学生がチンパンジーに惨殺される事件に遭遇していた。ふたりの捜査は、それぞれに奇怪な絵図を描きはじめていた。フランス・ミステリ界の鬼才が放つ大作!
遺伝子すげぇ。
まぁネタとしてはトンデモ系なのでありますが、無理が通れば道理が引っ込むと言いますか、とにかくこのトンデモネタを(少なくとも作中では)成立させようと作中で理論につぐ理論を重ねておりまして、序盤は「んなことあるかい」と思っていたワシでありますが終盤では「お、おう・・・」と納得せざるを得ない状態にさせてしまったこのティリエの豪腕っぷりに脱帽するしかない次第でありますよ。この壮大なスケールで展開されるノンストップサスペンスに皆酔いしれるがよいよいよい。
あとすげぇと思ったのは作中のリューシーの扱い。どう凄かったかは秘密にしておきますが、「ティリエはドSやな」とシミジミ思ったワシでありました。いやもうこれ凄いよほんと。皆読ンでこの衝撃を確かめるがよい。
夏休み明けからクライマックスやで
おしごとたのしいです(´・ω・`)
正直どーでもいい感ある
この「シュロック・ホームズ」、読ンだきっかけは本格ミステリ野郎にはお馴染み「後期クイーン問題」に関係してるって聞いたので、ちょっと興味でて読ンでみたわけなのですよ。で、まぁ確かに後期クイーン問題でいうところの「探偵には解決した謎の正当性が検証できない」(ざっくりとした要約)ってところに通じるものがあるとは思ったのですが、正直牽強付会っつーかこの作者そこまでぜってー考えてやってねーと思うし、ワシとしては「まぁ後期クイーン問題に絡めるのは話として面白いとは思うけど正直どーでもええわな」感しかない。そーゆーの考察したりするの好きな人にとってはたまらぬテクストになるかもだけど。本格ミステリが持つその辺の構造を検討するのが好きな人ならもっと違う読み方して、違った感想持つかもだけど。
ロバート・L・フィッシュ「シュロック・ホームズの冒険」
シュロック・ホームズの冒険 (ハヤカワ・ミステリ文庫 42-1)
- 作者: ロバート L.フィッシュ,深町眞理子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1977/03
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叡智と冒険の人、シュロック・ホームズをして用意周到な準備を要した難事件、「アダム爆弾の怪」はホームズの兄クリスクロフトが持ち込んだものだった・・・・・・アダムと名乗る男が新型爆弾を発明し、軍事省にその登録認可を願い出たのだが何とこの事件には、有数の科学者であると同時にロンドン一の大悪党、マーティ教授が絡んでいた!ホームズはワトニイ博士と共に敵中深く潜入したが・・・。メイ探偵に解読された暗号が奇想天外な結末をうむ上記の一篇ほか、シュロック・ホームズの信じられない冒険の数々を収めた、滑稽かつ機知に富んだ好短篇集。
うむ、バカミス。
まぁタイトルからしてお分かりのよーに、本書はシャーロック・ホームズのパロディ集なのですが、本書最大の特徴として「探偵の推理が的外れである」という点があります。探偵シュロック・ホームズの推理は「お前は何を言っているのだ」という斜め方向のものばかりなので、読み手にとっては真相が別にあるというのは一読了然(探偵の推理とは別に真相があるというのはちゃんと手がかりが示されてます)なのですが、探偵に事件を持ち込ンだ関係者にとっては彼の推理によって一応それなりの決着がつく(ついているよーに見える)のが中々楽しいところ。E=MC2(二乗)の方程式にまさかこンな暗号が潜ンでいた何て・・・!
というわけでバカミス愛好家ならばまぁ読ンでみてはどーかしら、と思うものなりよ。
ここ最近読ンだ本を簡単に紹介
- 作者: イーヴリンウォー,Evelyn Waugh,小林章夫
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2013/03/12
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黒い笑いに満ち満ちた、ハリウッドのセレブな葬儀社を舞台にした男2女1がおりなす恋愛喜劇。中盤から変な笑いが出っぱなしであったよ。
- 作者: マーク・グリーニー,伏見威蕃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/04/05
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ゴッド。いわゆる神。ここ数年の中でもトップクラスの冒険小説。前作「暗殺者グレイマン」とセットでどうぞ。
- 作者: アンソニー・ホロヴィッツ,駒月雅子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2013/04/27
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コナン・ドイル財団認定の80年ぶり公式ホームズ長編新作。ホームズものとしてはちょい異質な事件であったけど、雰囲気満点でとてもおもしろかったです。というかホームズ萌えすぎるやろワトソン。
- 作者: 長谷敏司
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/06/10
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「死」というものに真っ向から勝負を挑んだSF。ヘビーかつハードな内容で読み終わると同時に色々なものをごっそりと持っていかれた感あった。いやこれすげぇよ。
- 作者: 野崎まど,シライシユウコ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/07/24
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ゴッド。いわゆる神。「知る」というものを野崎まどが調理するとこうなってしまうのか・・・。ラストのインパクトがすげぇSFであった。いいから読むのだ。
- 作者: 霧舎巧
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2013/04/11
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マニアなネタにも程があるという感あった。ストーリーよりもトリックで勝負、というか展開が急すぎてちょっと消化不良というか何というか。
少年は探偵を夢見る―森江春策クロニクル (創元クライム・クラブ)
- 作者: 芦辺拓
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/03
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森江春策シリーズ短篇集。芦辺先生の本格ミステリは古き良き探偵小説の味わいがあって大変好みです。
- 作者: 北野勇作,森川弘子
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2013/07/11
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いつもの北野ワールドであった。つべこべ言わず読むべし。
- 作者: 赤城毅
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/06/06
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いつもの書物狩人であった。つべこべ言わず読むべし。
おしごとたのしいです
(´・ω・`) ← その目は研修済みであった
いや、でもさすがに20日ほどサボってたのはちょっとやりすぎ感あるな。お盆明けくらいからは以前程度の更新頻度には戻したい。
福岡ミステリー読書会ヘレン・マクロイ「暗い鏡の中に」参加してきました
ここのところ残業がお友達のワシでありますが、休出はお友達になっておらずスケジュール的に大丈夫であったのでまたも翻訳ミステリーシンジケート後援の読書会に参加してきました。お題はマクロイ「暗い鏡の中に」。今回のゲストは東京創元社の編集者S嬢(ラムネの人)、そして本格ミステリ野郎にはお馴染みの書評家・千街晶之氏のお二人でしたぜ。千街氏は「暗い鏡の中に」の解説者ということで召喚されたとか。S嬢ともども東京から遠いところありがとうございます。
ではこのお二方を迎えてどンな話が飛び出たかっつー話ですが、ネタバレ全開になりますゆえ以下は「暗い鏡の中に」未読の方はご注意を。つーか創元の編集者さンが来ると必ず「すいませン、バークリーの短篇集はどーなっているのでせうか」と質問するのはやめるンだワシよ。
- 面白かったから全てよし
- ラストはどっちでもいいかな
- 犯人(?)がやったことのリスクとリターンが釣り合ってない気がする
- 女装好きすぎるやろ
- 実は単なる女装好きだったり
- それはそれでヤバイ
- 本当にやつが犯人なら精神的にかなりやばい
- 幻想的だから怖いっつーよりも人間の狂気的に怖い感ある
- 犯人(?)邪悪っつーか闇すぎるやろ
- つーか男性がこンなに安々と女子校に侵入できるのかよ
- 女性の描写が細かい
- というか全体的に細かい描写が冴えてる
- ウィリングの説明はスッキリしているよーでスッキリしてない気がする
- 「たまたま」とか「偶然」に頼りすぎてね?
- でもそれだからこそ幻想的というかこのオチに繋がってる気がする
- 計算してやってるのか
- 偶然じゃね?
- でも「家蠅とカナリア」あたりではきっちりやってるのでやればできる人よマクロイ
- 本格ミステリからあえて崩している感ある
- つーかウィリングのキャラ薄くない?
- 精神科医のキャラが濃いと嫌なキャラにならない?
- もっと心理的手がかりをつっこめよ
- 探偵が敗北(?)するのはびっくりした
- なぜウィリングがここまで事件に介入するのかちょいわからぬ
- 恋人のギゼラのためじゃない?
- それにしてはお節介すぎる気がする
もうちょい意見が出たのですがメモしきれなかった(´・ω・`) オチについてどーのこーのというよりは、道中の展開とか細かい描写についてのツッコミが多かったという印象です。つーかこの本、あまり「本格か否か」的な読まれ方されてないのねという印象を受けました。
ちなみにワシとしては昔読ンだときには本格ミステリとして楽しンだのですが、今回再読したところウィリングの説明が偶然に頼りすぎている感あることに気づき「お、おう・・・」ともにょっとした気持ちになりました。ドッペルゲンガーの存在を否定しきれない。そしてまたこれがウィリングの説明どおりに全て犯人の仕組ンだとおりとするならば、犯人の遠大な計画と無駄すぎる努力と執念に「これ犯人の狂気すごくね?ひょっとしなくてもバカミスじゃね?」と今更ながらに思い当たってしまったワシでありましたとさ。うむ、やはり全てのミステリはバカミスに通ず。よしいいからお前黙れ。はい。というかドッペルゲンガーの仕業ならそれはそれでバカミよしいいからお前黙れ。はい。
毎度楽しい会ですので、次回も機会が合えば参加したいと思います。初心者の方歓迎・・・というか、全体的にあまりミステリに強い人いませンので「ああン?後期クイーン問題だぁ?」とかで絡まれることはないので、お気軽にどうぞ。