ジャック・カーリイ「ブラッド・ブラザー」



ブラッド・ブラザー (文春文庫)

ブラッド・ブラザー (文春文庫)


きわめて知的で魅力的な青年ジェレミー。僕の兄にして連続殺人犯。彼が施設を脱走してニューヨークに潜伏、殺人を犯したという。連続する惨殺事件。ジェレミーがひそかに進行させる犯罪計画の真の目的とは? 強烈なサスペンスに巧妙な騙しと細密な伏線を仕込んだ才人カーリイの最高傑作。ラスト1ページまで真相はわからない。



これはすごい。


恐らくはオチから逆算して完璧に構成された素晴らしきミステリ。1作目から中々のナイスガイっぷりを発揮していたライダーの兄・ジェレミーが脱走して街に解き放たれるだけでも楽しいのに、それに加えて魅力ある新キャラクター、謎の繰り出し方、伏線が収束する解決のカタルシス、と全てが高レベルでまとまった驚きの作品でございます。1作目「百番目の男」は結構なバカミスだったのに、よくもまぁここまで到達したものよ・・・。でも1作目の路線も嫌いではないのでたまにはあーゆーのでもいいのよ


間違いなく本年度トップクラスの作品と言える本書、ミステリ好きなら迷わず手に取るがいいさっ

ジョー・R・ランズデール「罪深き誘惑のマンボ」



罪深き誘惑のマンボ (角川文庫)

罪深き誘惑のマンボ (角川文庫)


KKKが支配するテキサス東部の街グローブタウン。この街で黒人の獄中自殺事件の真相を探っていた美人黒人弁護士フロリダが失踪した。「彼女も殺されちまったのか?」最悪の事態を憂いつつ、ストレートの白人ハップとゲイの黒人レナードのコンビは、警察さえも手出ししない狂気の街に乗り込む。人種差別者の巣窟で二人が出会うのは、役立たずの警察署長、サディスティックな街の名士に、リンチ好きな街の住人たち。記録的な豪雨と雷鳴の中で二人が目にした事件の真相とは…ダーク・サスペンスの大家が放つ戦慄の怪作。



テンション高ッ!


ストーリーはシンプルそのものなのですが、とにかく主役コンビを始めキャラクターが大変魅力的。あとどいつもこいつも会話のセンスが半端なく(下品ですが)、それだけでもうニヤニヤしながら読み進められます。でもテンションがやたら高い作品なので、読み手がある程度ノっていかないと結構読むの苦痛かも。恐らくは主役のキャラに魅力を感じられなければ面白くも何とも無い作品であるとは思いますが、ツボに入る方はするするっと読めるはず。ワシは大いに楽しんだものでした。