小説感想 山田風太郎「銀河忍法帖」

銀河忍法帖―山田風太郎傑作忍法帖 (KODANSHA NOVELS SPECIAL)

徳川幕府を支える稀代の天才・大久保長安。サイエンスを駆使し、女精酒を飲み、佐渡金山開発に力を注ぐ。そんな彼の前に現れた無頼者・六文銭の鉄。長安麾下（きか）の伊賀者と愛妾を次々に佐渡の地で殺していく、鉄の正体は？そして狙いは？

タイトルが少々キワモノじみていますが、これがもう絶句してしまうほどの大傑作。
山風の魅力は語りだすときりがないのですが、中でも一番の魅力はやはりその奇想（妄想でも可）と断言してしまって問題ないでしょ、もう。狂ってないとこんなステキな話はぜってー思いつかないよ！（最大級の誉め言葉です）


本作に登場するキャラはどいつもこいつもキチガイぞろいで大変好ましいのですが、中でも飛びぬけたキチガイが大久保長安。序盤からステキ言動・行動を披露してくれるのですが、特筆すべきは中盤の一幕。捕らえたくノ一を拷問にかける際、用意してあるありとあらゆる拷問器具の説明を嬉々として行う下りが実に萌え。そしてたぶんそのシーンを嬉々として執筆したであろう山風萌え。（他のシーンと比べてテンションが急に高いし）


ハッピーエンドなど何処吹く風、といういつもの山風イズムも冴え渡り、ラストは大層印象に残りました。こーゆー凄惨なエンディング大好き。


現在入手難易度がどのくらいなのかはちょっとわかりませんが（文庫化してるのか、これ？）、大傑作なので古本屋等で発見されたら即捕獲されるが吉かと。すんげー面白かったっすよ、マジに。