小説感想 島田荘司「セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴」




「これは大事件ですよ」───「占星術殺人事件」の直後、馬車道の仕事場を訪ねてきた老婦人に名探偵・御手洗 潔は断言した。とある協会で開かれたバザーで、彼女の知人がとった奇妙な行動には、隠された意図があったのだという。ロシアのロマノフ王朝から明治政府に贈られた「セント・ニコラスのダイヤモンドの靴」をめぐって起きた事件を御手洗が解き明かす!クリスマスの夜、少女のために名探偵が起こす奇跡とは!?



んー、ちょっと水増し感がある長編。
そんな印象です。


謎の提示やプロットの組み立て方は、さすが島田荘司というレベルでベテランならではの巧みさを感じました。冒頭、御手洗と老婦人との会話から、まだ露見していない犯罪を見抜くあたり実にナイス。トリックらしいトリックは存在しなかったものの、プロットの構成が巧みなので最後まで飽きずに楽しく読めました。読後感もよかったし。


でも、このネタだと短編にした方がキレがよかったと思います(;´Д`)
不自然な水増しっぷりではないのですが…。


まあ久々の御手洗ものですし。
何より、石岡君と御手洗の噛み合わない会話がかなり笑えるので結構オススメ。