小説感想 山田風太郎「忍法剣士伝」



忍法剣士伝 (角川文庫)

忍法剣士伝 (角川文庫)


その液体を浴びたとたん、女はあらゆる男を悩殺せずにはおかない女人となる。液体とは、快楽に燃える女の髄、液、精をことごとく吸いとったもの…これが果心居士の編みだした"幻法びるしゃな如来"。
一人の忍者の奸計によって、この幻法の犠牲となったのが、北畠具教の一人娘、旗姫。北畠家には当代の剣豪12人が会していたからたまらない。旗姫を追う野獣と化した剣豪たちを相手に、若き忍者、木造京馬の姫を護る旅が始まる。



標準レベルは十分に超えているけど、ちょっと物足りないなぁ。


当代の剣豪12人がかな〜り豪華なメンバー(塚原卜伝とか柳生石舟斎とか宝蔵院胤栄とか)なので「うぉっ!当代の豪華キャスト相手にどう闘うつもりだーっ?」と思ったのですが…。
実際は、結局は12人が仲間割れを起こし、剣豪同士の内輪もめで殆どケリがついてしまうという展開になってしまったのがちょっと不満。
まあ作中の主人公・木造京馬の技量と12人の剣豪との技量を比較すれば剣豪たちがはるかに上回っているので、ガチ勝負をすれば京馬が敗北するのは火を見るよりも明らかなのですが(;´Д`)
んー、ちょっと中盤〜終盤がワンパターンちっくになってしまっているのが不満の原因なのかな?


ラストの展開はちょっと意外でしたが、まあこれはこれで。凄惨な中にも希望を持たせるという、山風にとっては結構珍しいエンディングでした。