小説感想 ジョン・ディクスン・カー「死が二人をわかつまで」
- 作者: ジョン・ディクスン・カー,仁賀克雄
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 1996/09/01
- メディア: 単行本
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「君の婚約者は過去三人の男を毒殺した妖婦だ」
劇作家ディック・マーカムに恐るべき話を告げた著名な病理学者は翌朝、青酸を注射され、密室の中で絶命しているのを発見された。状況は彼が話した過去の事件とまったく同じだった。可憐なレスリーは果たして本当に毒殺魔なのか。
平和な村に渦巻く中傷と黒い噂、複雑怪奇な事件に挑むフェル博士の名推理。
魅力的な謎とプロットが融合したカー中期の傑作。
たしか最近になって早川文庫からも出版されたはず。
えーと、読了後に「おいおいベタすぎるにも程がありますよカー先生?」思ってしまうこと請け合いの内容。(注:悪い意味ではありません)
殺人事件のシチュエーションはかなり魅力的ですし、また現場は密室ということでそれなりの不可能性もあることはあるのですが…。まあ、その、トリックが。カーの熟練の技巧によって+αの要素が加えられているので脱力するほどのことはありませんが、もうちょいと気の利いた処理の仕方はなかったものかなぁ、と思ってしまったわけなのですよ。
でもまあ、解決編に到るまでのプロットの処理の仕方はさすがの一言。ディック・マーカムを取り巻く女性達の丁丁発止のやりとりもかなり面白かったし。(女性キャラがまったく魅力的に描かれていないのはカーの仕様?)
個人的には十分に満足いくレベル。やはり古典はいいのう。