小説感想 霞流一「サル智恵の輪」



サル知恵の輪

サル知恵の輪


「俺の名は紅門福助、四十二歳、独身の私立探偵だ。杉並区枕北商店街にオフィスを構える。」
お好み焼き屋「ジャングル」のオーナーが犬のチータを残して死んだ。この事件を解決する迷走と妄想の名探偵、紅門福助が繰り広げる冒険譚は、奇人さん達が入り乱れ常軌を逸した言動の嵐吹き荒れる狂奔のファルス・ステージ!



あやまれっ!えーと、えーと、とにかくいろんなひとにあやまれっ!


探偵大暴走、文章も大暴走。
何だか関係各所にクレームをつけられそうなネタがあちらこちらにありましたけれども、だがそれがいい。さすがバカミスキング霞流一と言うべきか、超安定のバカミスでした。(その日本語は成立しているのか)


えーと、割とどーでもよくない話なので書いておくことがひとつ。
表紙の「MONKEY LOGIC」の部分の塗装が剥がれやすいのはどーにかならんかったのかいな。本書を読む際はカバーは外して読むことを推奨いたしまする。でないと指に金色の素敵なサムシングがくっついちゃいますよ?


では本題、と。


まあいつもどおりの霞バカミスなので、登場人物も内容も動機も狂っていてステキ極まりないのですけれども、犯人特定に至るプロセスにはちょいとばかしカタルシスが不足しているよーな気がするなぁ(;´Д`)
何だか「話の収集をつけるために、そろそろ犯人にはここらでミスをおかしてもらおーか」といった作者側の都合が見受けられると言いますか。(妄想しすぎ?)


あとラストにちょっとしたサプライズが仕掛けられているんですが、正直これは不要だったと思います(;´Д`)
いや、「あ、そーゆー仕掛け?」的な面白さはあるんですけれども、こんなところに力を入れるぐらいならもちっとロジック部分に力を注いで欲しかったなぁ、と。


バカミスとしては必要以上のクオリティだと思いますけれども。
ガチな本格としてはどーか、と考えると…。うーん。
バカミス慣れしていない人は「なんじゃこの動機はー!」と激怒する可能性もありますゆえ、今回はバカミスハンター以外にはあまりオススメしません、ってことでひとつ。


え?ワシ?もちろん大好きですが何か?