小説感想 アヴラム・ディヴィッドスン「どんがらがん」




空前絶後の輝かしい受賞歴をもち、キプリングやサキ、G・K・チェスタトンに比肩すると評されるアヴラム・ディヴィッドスン。この才気と博覧強記の異色作家が遺した短編を、日本の誇る才気と博覧強記の作家殊能将之が編んだ傑作選。
"奇想コレクション"第7回配本。


超兵器<どんがらがん>をめぐるピカレスクスラップスティックな表題作、完璧な短編小説「ゴーレム」、ヒューゴー賞受賞「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」、MWA賞受賞「ラホール駐屯地での出来事」、世界幻想文学大賞受賞「ナポリ」、新本格ミステリ的な逸品「すべての根っこに宿る力」ほか、全16篇を収録。



ヘンな小説だなぁ。


「面白いか」「面白くないか」で考えると間違いなく面白いと思います。少なくともワシは好き。他の「奇想コレクション」集めよう、と考えてしまうくらいには好き。(それはもの凄く気に入ったのではないのか?)


でも、「殊能氏が関わってるから」とか「このミスでランクインしてるから」とかの理由で手を出すとちょいと火傷する恐れがあるかも(;´Д`) 普段から手広く本を読んでる人なら「愉快な本だなぁ」と思ってもらえるでしょーが、ミステリおんりーで読まれている方が手にとられた場合は「何コレ?」と思ってしまうかもだ。


どっちかっつーとSFちっくな話が多いので、「このミス」で興味を持たれた方はちょいとご注意を。


で、話は戻りまして。全体的に凄くクオリティーが高い作品集になっているのですが、その中でもワシとしては「ゴーレム」「サシェヴラル」「そして赤い薔薇一輪を忘れずに」「すべての根っこに宿る力」「ナイルの水源」「どんがらがん」あたりがお気に入りです。


特に「そして赤い薔薇一輪を忘れずに」はタイトルが巧みすぎ。読了後にとっても腑に落ちました。「どんがらがん」はお約束へまっしぐら、な展開が超絶にステキで愉快でナイス。コントでもやってんのかお前らは。


SF系に抵抗なければ愉快な読書ができると思われます、いやー面白かった。