小説感想 アンソロジー「夜明けのフロスト」



夜明けのフロスト (光文社文庫)

夜明けのフロスト (光文社文庫)


───平穏無事で和やかなクリスマスであってほしいと願うフロストだったが、期待はむなしく裏切られた。早朝、商店の戸口に赤ん坊が捨てられていて、その着衣には血痕が付着していた。少女失踪事件も発生し、また一方で、百貨店の事務所の金庫が荒らされ大金が盗難に遭っていた。署内はてんやわんやの大騒ぎ。しぶしぶながらフロストが捜査に乗り出し……(表題作)。


───『ジャーロ』収録作品のなかから7編を厳選した傑作クリスマス・アンソロジー!



ナイスアンソロっ! (ぐっ、と親指を立てて)


値段の割にはかなり楽しめる、お得感あるアンソロジーではないかと。


内容はクリスマスにちなんだ短編揃いで、エドワード・D・ホッグ、ピーター・ラヴゼイ、レジナルド・ヒル等の作家の作品が収録されております。
…が、やはり目玉は表題作R・D・ウイングフィールド「夜明けのフロスト」かな。どーせこの本を買う人って皆これが読みたくて買うんだろーしね(;´Д`)


「夜明けのフロスト」は創元推理文庫から出版されているフロスト警部シリーズの短編。ガチの本格、というわけではないのですけれども、入り組んだプロットは短編でも健在で大変満足しました。「第4長編はまだか訳者!」と切望している読者の渇きを癒すに十分のクオリティだったのではないでしょーか。


あと短編ながらも、警察署の面々が実にキャラが立っているのもステキ。フロストとウェルズ巡査部長がクロウリー夫人を目の当たりにした際のリアクションに爆笑、お前らステキすぎです。


フロスト好きは勿論のこと、まだフロストシリーズを未読の方にも入門用として是非にオススメしたいアンソロジー。いやー面白かった!