小説感想 原寮「ハードボイルド」



ハードボイルド (ハヤカワ文庫JA)

ハードボイルド (ハヤカワ文庫JA)


本書と文庫版『ミステリオーソ』は、著者初のエッセイ集『ミステリオーソ』(95年)に、その後著された新たなエッセイ・対談・短篇を加えて再編集した<原寮エッセイ集>増補版。本書は、小説に関するエッセイと対談を収める。豊富な読書体験と作家の立場から著者の理想とする<ハードボイルド>とは何かが探求されている。さらに2篇の文庫初収録短篇と8篇の「小説以外の沢崎シリーズ」を収録。”沢崎ファン”必読の書。



エッセイの内容がミステリ中心ですので、「ミステリオーソ」よりは楽しく読めました。


つーか「『長いお別れ』の魅力」という項目で、延々と『長いお別れ』の文章を引用し、あげく最後に

こんな文章は誰も書けなかった。

と締めくくっているのはちょっと驚愕(;´Д`) (法月綸太郎も驚愕の引用っぷりだっ!)


あとは「ポケミス街で拾ったもの」というエッセイが洒落ていて素敵だったり。言葉遊びみたいなものなんですが、あんまり無理なく構成されているのが凄いよなぁ、と感心しました。


沢崎シリーズの未収録短篇も収録されていますし、エッセイも結構面白いので、こちらはかなりオススメできるのではないかと思います。
ただし「小説以外の沢崎シリーズ」は文庫既刊の巻末おまけ短篇を再収録したもの+新聞等に掲載した超ショートショート作品ですので、文庫版でシリーズ揃えている方にはちょっとコストパフォーマンスが悪いかも?