小説感想 辻真先「盗作・高校殺人事件」



盗作・高校殺人事件 (創元推理文庫)

盗作・高校殺人事件 (創元推理文庫)


新宿駅の九番線のホームで電車を待っていた牧薩次のうしろで鈍い爆音とともに売店から黒煙が上がった。パニック状態に陥った群集は階段に殺到し、折り重なって転落した。死者九名、重軽傷者六十一名の大惨事であった。病院に担ぎ込まれた薩次は同室の若い被害者二人と意気投合し、その中の一人、三原恭助の実家、鬼鍬温泉に、それぞれカップルで出かけることになった。だが、そこで密室殺人事件に巻き込まれることになる……!
『仮題・中学殺人事件』に引き続き、今度は「作者は、被害者です。作者は、犯人です。作者は、探偵です。この作品は、そんな推理小説です」と、自信満々、作者が仕掛ける超ミステリ。スーパーとポテト・コンビの名推理が冴える第二弾!



まさに匠の技。


メタ要素に頼ることなく、「作者は、被害者です。作者は、犯人です。作者は、探偵です。この作品は、そんな推理小説です」という要素を実現している技量にはびっくり。新本格というジャンルで好き放題やっている近年のミステリに慣れ親しんだ読者ならば、「あー、そーゆーこと?」と作者の目論みに気づけるかもしれませんけど(;´Д`)


初出は30年近く前なので、今となってはちょいと古臭いところが見受けられますけれども…。良作なミステリであることには変わりありませんので、ワシとしては胸を張ってオススメしたいところです。短いのでさっくり読めるのもナイス。


いやー面白かった。