小説感想 西村健「ビンゴ」



ビンゴ (講談社文庫)

ビンゴ (講談社文庫)


新宿ゴールデン街。酒場のマスターでありながら事件屋稼業を営む小田健に寄せられた依頼。勝手知ったる路地裏、何でもない調査のはずが…。傭兵、殺し屋、政治家に土建屋、美女をも巻き込み夜の街・新宿から丹沢山系へ。吼える銃、ほとばしる筆力、疾走するストーリー。文句無し、大興奮ページターナー



コッテコテのB級アクション小説。


「無理が通れば道理が引っ込むっ!」とゆーストーリー展開&割と独特の文体ですので、恐らくは読み手をかなり選ぶ本ではないかと思いますけれども、B級アクションが大好きな人間にとってはまったく問題ない話と言いますか、むしろ「いいぞーもっとやれー!」と言いたいところだったりするのです。つーわけでワシはめっちゃ気に入りましたよ、もう大好き。ラブ。


なんつーか、一昔前の香港電影のアクションものっぽい雰囲気を持っていますので、ジョン・ウーとかツイ・ハークとかの作品がお好きな方は間違いなく気に入るんではなかろーか、と。ラストの無茶っぷりは何となくですが「男たちの挽歌Ⅱ」に通じるところがあったよーな(;´Д`)


とにかく「俺が好きなエンターテインメントはこれだーっ!」という作者のハートがビシビシ伝わってくる愉快な作品。いくらでも政治思想を盛り込めそうな内容だったのに、徹頭徹尾エンターテインメントを貫き通した作者の心意気には感服仕ったですよ、ええ。殺し屋とオダケンの一騎打ちのシーンとか、実にわかってらっしゃるし。


まあ欠点を挙げるとするならば、序盤〜中盤の展開にちょいとばかりアクセントが欠けているところかにゃー。怒涛の後半戦に弾みをつけるためにも、この辺でもうひとヤマ欲しかったところ。


しかしそんな欠点など些細なコトよ。B級アクション好きには必読の書と言えるべき本書、ワシと似たよーな趣味ならばきっと気に入るはずだっ!オススメ。