小説感想 西村健「脱出 GATEWAY」



脱出 GETAWAY (講談社文庫)

脱出 GETAWAY (講談社文庫)


恋人の復讐のため悪徳警官を射殺した志波銀次の命を自衛隊の特殊部隊、伝説の傭兵達がつけ狙う。チンピラごときに政府が策謀を巡らす?なぜだ!!戦車・ヘリから降り注ぐ砲撃、銃弾、紅蓮の炎を駆け抜けて銀次の爆走は続く。次第に明らかになる巨悪の陰謀。魂を揺さぶる痛快無比の超絶アクション大傑作。



最 高 。


デビュー作「ビンゴ」では前半の盛り上がりがちと不足していた感があったのですけれども、その不満点を完膚なきまでに払拭してますですよ。つまり前半からテンション全開、エンディングまでそのまま強引に力技で押し切るよーな展開が続くわけでして、読んでるこちらは「何時気を緩めればいいんだ」と贅沢な悩みを抱えつつ濃密な読書体験が味わえるって訳です。


つーかグレード的には最高クラスの冒険アクション小説なんですけれども、内容がどこまでもB級であろうとしている所に実にステキ。街中でドンパチとかまだ軽いほーで、人をひき殺したくてたまらない戦車の運転手だとか伝説の傭兵「片目の男」だとか片目に従う「傭兵九人衆」だとか、もうこれ以上ないってくらい頭の悪い(勿論誉めてます)アイディアが辛抱たまらんわけですよっ!あーもー素敵すぎる。


まさに「あぁー面白かったなぁ!」という言葉がピタリと当てはまる怪作。B級アクション好きには勿論のこと、娯楽大作に餓えている方に自信を持ってオススメしたい作品。ワシとしてはエンターテインメントのお手本にしたいくらいですよ、ええ。


ちなみに前作「ビンゴ」を読んでいなくても問題なく楽しめますよん。その辺がネックだと感じている人はご安心をっ!