小説感想 クリストファー・プリースト「奇術師」




イングランドに赴いたジャーナリストのアンドルーは、彼を呼び寄せた女性ケイトから思いがけない話を聞かされる。おたがいの祖先は、それぞれに"瞬間移動"を得意演目としていた、二十世紀初頭の天才奇術師。そして、生涯ライバル関係にあった二人の確執は子孫のアンドルーにまで影響を与えているというのだが………!?二人の奇術師がのこした手記によって、衝撃の事実が明らかとなる!世界幻想文学大賞受賞の幻想巨篇。



ぐれいと!


世界幻想文学大賞受賞、とゆー肩書きは伊達ではないと思うのですが…。いやまあ幻想か。ラストは少々ホラーちっくな感じがしたけど幻想的ではあるよな、うん。


基本的に手記によって話が進む入れ子構造(とゆーほどでもないけど)的作りになっていますので、油断してぼんやり読んでると作者が仕掛けた騙りのテクニックにより、ラストでガツンと衝撃を受けるのがニクイ。基本的にミステリっつーよりはSFな作品だと思ってましたので、これは嬉しい誤算でした。(そこまでSFしているわけでもないけど)


つーか「瞬間移動」の手法とか、SF的小道具も「それを持ってきますか」的驚きがあるんですが………。やっぱりラストの奇妙っぽさが全てだよなぁ。分かっていてもゾクリ、と来る感じが辛抱たまりませんですよ。


ミステリとSFの境界上の作品ですので、どちらのファンにも広くオススメしたい傑作です、実に素晴らしい作品でした。(後書きによると今年映画が上映されるらしいけど…)