小説感想 アントワーヌ・ベロ「パズル」



パズル (ハヤカワ・ノヴェルズ)

パズル (ハヤカワ・ノヴェルズ)


<楽しく読書しながら論理的思考を獲得するために>
連続猟奇殺人事件の謎、手掛かりを集約すべき名探偵不在という謎、ちりばめられたパズルの薀蓄の謎………。徹底して不可思議な小説構造で読者の頭脳に挑戦する、かつてない思考型サスペンス。



ぎりぎりで本格ミステリ………かな?


謎を解くべき探偵が不在、っつーことだったので「何?『どちらかが彼女を殺した』みたいに自分で考えないといかんのん?」と思っていたのですけれども、なるほどそーゆーオチで来ましたか。納得。


んー、でもそこまでに至るサスペンス性がちょいと弱いかなぁ。本の構成としては「事件概要」「謎の提出」「解決編」の3部構成になっているんですけど、その中の「謎の提出」が時系列ばらばらで描写されている(パズルの48ピースに例えられているのです)のですが…。この構成があまり意味を成していないよーな気が(;´Д`)


あとやたらと登場人物が多いので、よーく覚えながら進めないと、解決編に至っても「この人だれ?」とカタルシスも何もないことになってしまう罠。(注:ワシ含む)


と、やたらとマイナス面ばかり強調しましたが…。オチの為に全て(構成・キャラなど)を奉仕させ、破綻なく無理なく世界を閉じることに成功しているゆえ、十分良作のミステリであると思います。びっくり、とはいかなくても「おおー」と思わず感心してしまう作りですかにゃ。ワシは結構好きです、でもオススメできるかっつーとちょっと微妙かもだ(;´Д`)