小説感想 アントワーヌ・ベロ「パズル」
- 作者: アントワーヌ・ベロ,香川由利子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/11/25
- メディア: 単行本
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<楽しく読書しながら論理的思考を獲得するために>
連続猟奇殺人事件の謎、手掛かりを集約すべき名探偵不在という謎、ちりばめられたパズルの薀蓄の謎………。徹底して不可思議な小説構造で読者の頭脳に挑戦する、かつてない思考型サスペンス。
ぎりぎりで本格ミステリ………かな?
謎を解くべき探偵が不在、っつーことだったので「何?『どちらかが彼女を殺した』みたいに自分で考えないといかんのん?」と思っていたのですけれども、なるほどそーゆーオチで来ましたか。納得。
んー、でもそこまでに至るサスペンス性がちょいと弱いかなぁ。本の構成としては「事件概要」「謎の提出」「解決編」の3部構成になっているんですけど、その中の「謎の提出」が時系列ばらばらで描写されている(パズルの48ピースに例えられているのです)のですが…。この構成があまり意味を成していないよーな気が(;´Д`)
あとやたらと登場人物が多いので、よーく覚えながら進めないと、解決編に至っても「この人だれ?」とカタルシスも何もないことになってしまう罠。(注:ワシ含む)
と、やたらとマイナス面ばかり強調しましたが…。オチの為に全て(構成・キャラなど)を奉仕させ、破綻なく無理なく世界を閉じることに成功しているゆえ、十分良作のミステリであると思います。びっくり、とはいかなくても「おおー」と思わず感心してしまう作りですかにゃ。ワシは結構好きです、でもオススメできるかっつーとちょっと微妙かもだ(;´Д`)