小説感想 辻真先「改訂・受験殺人事件」



改訂・受験殺人事件 (創元推理文庫)

改訂・受験殺人事件 (創元推理文庫)


ポテトとスーパーの通う西郊高校きっての秀才が、校舎の三階の窓から飛び降りた…はずなのに、校庭には誰も倒れていない、ばかりか窓の下に突き出ているビニールの日よけは、どこにも破れ目がなかった。彼はどこへ消えてしまったのだろう?ところが意外なことに、それから四時間たったその日の夕方、校庭に墜落死体が横たわっていたのだ!続いて、喫茶店を借り切って高校生たちの乱痴気パーティが開かれた夜、西郊高校生が殺された。そして、第一の事件も、第二の事件も、高校の校歌どおりの死に方だったのは偶然なのか?受験戦争のまっただ中、鬱屈した気持ちを抱える高校生たちの中で起こる奇怪な連続見立て殺人。相次ぐ不可能状況の事件と、そして作者が仕掛ける究極のトリック。辻真先の出発点となった初期連作の第三弾!



相変わらず熟練の技巧が冴えるシリーズ第3段。


今回は「私が犯人なのだ」という犯人のはしがきで始まり、犯人のあとがきで終わるとゆー趣向を凝らしているのですけれども…。解る人はこれだけの記述で「あ、そーゆー趣向ね」と解ってしまう罠も無きにしも非ずと言いますか(;´Д`) 過去にも、そして近年にも同様のミステリは沢山ありますので特に目新しさは感じられないよな、さすがに。


しかしタイトルを含め、全てが「本格ミステリ」の様式美に美しく合致している作品であると思いますので読まれて損はない作品であると思いますですよ、ワシは。