小説感想 ダン･シモンズ「エンディミオン」

エンディミオン (海外SFノヴェルズ)

32世紀、＜テクノコア＞の消滅とともに連邦が崩壊して三百年足らず、宇宙は星間政府と結託したカトリック教会、パクスの神権政治の元に統べられていた。
惑星ハイペリオン───。パクス法廷の即決裁判により冤罪のまま刑死したはずの青年ロール･エンディミオンは、とある城砦の一室で再び覚醒した。やがて傍らに傅くアンドロイドの案内のまま、そこが廃都＜エンディミオン＞であることを知らされた彼は、待ち受ける一人の老人に引き合わされ、その正体を知って愕然とした。その老人こそ、教会によって禁書とされた『詩篇』の実作者にしてかつてのハイペリオン巡礼の一人、詩人マーティン･サイナーリスその人だったのだ！さらに老詩人はエンディミオンに驚くべき予言を告げる。＜時間の墓標＞がまもなく開き、一人の少女が現れる。彼女こそが全宇宙の命運を握っているのだ───。
かくして、エンディミオンは＜時間の墓標＞を目指し旅立っていった。全宇宙の命運を握る一人の少女、来るべき＜教える者＞を追りくるパクスの魔手から救いだすために。


ヒューゴー賞、ローカス賞をはじめとする数多の賞に輝く『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』に続き、人気作家シモンズが放つ傑作SF叙事詩、堂々の第三部！

長きいくさの日々へのプロローグ、といった感じかな？


続編「エンディミオンの覚醒」まで読了しているからそう思うのかもしれませんけど、後半戦に向けての仕込みだけで終わった感がしてなりません(;´Д`)


………いや、それでも十分に面白いんですけれども。エンディミオンたちを追いかけるパクスの神父大佐のキャラクター性とか、後半に出てきた某キャラクターと某キャラクターの燃える闘いとか、見所は全編にちりばめられ退屈せずに読了できるんですけれども。


でも何だかちょっと物足りないんだよなぁ･･･。長さの割に内容が薄いっつーか。クオリティー的には『ハイペリオン』と同等だと思うけど、ページを捲らせる力がちょいと弱い気がするんですよ、『ハイペリオン』と比べると。(比べるなよ、と言われればそーなのですけど)


しかし完結編『エンディミオンの覚醒』は文句なしに面白かった罠。『覚醒』まで含めると大長編になりますが、長さに見合った価値はあるとワシは思いますのでシリーズファンで未読の人は是非に。


ちなみに『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』はSF初心者の人でも楽しめると思いますよ、気になる方はれっつとらい！