小説感想 ダン・シモンズ「夜更けのエントロピー」



夜更けのエントロピー (奇想コレクション)

夜更けのエントロピー (奇想コレクション)


ミステリ、SF、ホラー、現代文学のジャンルを超えて、「すこし不思議な物語」の名作を集めたシリーズ“奇想コレクション”刊行開始!第1回配本は、『ハイペリオン』でその人気を不動にした、まさにジャンルを超えて最高の作品を生みだしつづける巨匠ダン・シモンズ!ローカス賞受賞の表題作をはじめ、死んだ母がぼくの家に帰ってきた…デビュー作「黄泉の川が逆流する」、かつての教え子ケリーを殺すため異世界を旅する元教師の孤独な追跡劇「ケリー・ダールを探して」、世界幻想文学大賞ブラム・ストーカー賞受賞の傑作「最後のクラス写真」、本邦初紹介の「ベトナムランド優待券」ほか、全7篇を収録。



全体ではちょいと微妙、としか言い様がないけれども・・・ッ!


読んでて「何だかどの話もちと微妙だなぁ」と思っていたんですが、「最後のクラス写真」が異様なまでにワシのツボにクリーンヒット、ハートをブレイクショットされてしまいましたので(;´Д`) 他の収録作なんてどーでもいいや、とゆー境地に至ってしまいました。(おいおい)


いやもう、この話だけ異様なまでに突出してますよ実際。「ゾンビもの」+「学園もの」+「スナイパーもの」+「立て篭もりもの」といった内容が神々しいまでに融合した、何だかもう「これはワシの為だけに書かれた短篇じゃね?」とあらぬ妄想を抱いてしまうほど、ステキ極まりない短篇なのです。しかもラストはちょっと泣けるし。


つーわけで「最後のクラス写真」が個人的に大ヒットなので、胸を張って本書をオススメする所存。これを読むだけでも本書に取り組む価値ありと断言致します。(人によっては他の収録作も気に入るかもだ)


いやーほんと良い話だったよ。でも冷静になって考えてみると、ラストシーンはビジュアル化するとちとシュールだよな(;´Д`) (そ、それは言っちゃだめだっ!)