小説感想 大山誠一郎「仮面幻双曲」



仮面幻双曲 (小学館ミステリー21)

仮面幻双曲 (小学館ミステリー21)


待望の本格ミステリー登場!


双子の弟から兄への殺人予告。そして、事件は起こった。
一見不可能に思える殺人事件の謎に、若き探偵が挑む。
その先に待っていたのは意外な結末だった!!



マニアによる、マニアのための、マニアな本格。


「これが俺の考える本格だ!
エンターテインメント要素なんてドブにでも捨てちまえっ!
あーん?人物が書けてない?
は!そんなこと知ったこっちゃねーぜっ!」


と大山氏の魂の叫びが聞こえてきそうな、アナクロアナクロ、コッテコテのベタ本格。


年末の「本格ベスト」が好きな読者は大喜びでしょーけど、「このミス」好きの読者はなんじゃこりゃと眉をひそめるでしょーな、きっと。エンターテインメント要素・サスペンス性がまったくもって希薄ですので、解決編に至るまでは退屈な事この上ない内容なので、それも仕方ないっちゃーないんですが(;´Д`)


しかし解決編のロジックは「さすが大山誠一郎」と思わされるものがありましたので、読了後の満足感はかなり高く感じられました。つーか「双子」とゆーミステリ業界では使い古された素材をこうも巧く処理できるとは・・・ッ!恐るべきは大山誠一郎よ。


恐らく年末の「本格ベスト10」(これの選者はこの手の本が好きでしょ)には名を連ねるであろう作品、本格ミステリ好きでない方はスルー必至ですけど、お好きな方は読まれて損は無い作品かにゃ。


・・・でも別にスルーしても問題ない気がしないでもないですが(;´Д`) (あら、言っちゃった!@おすぎ風)