小説感想 パーシヴァル・ワイルド「探偵術教えます」



探偵術教えます (晶文社ミステリ)

探偵術教えます (晶文社ミステリ)


お屋敷付き運転手のP・モーランは通信教育の探偵講座を受講中。気分はすっかり名探偵の彼は、習い覚えた探偵術を試してみたくてたまらない。ところが尾行の練習に選んだ相手が"たまたま"麻薬密売人で、あやうく一味に消されそうになったり、古今の名作ミステリをお手本に、消えたダイヤ探しに乗り出したものの、あまりに手本に忠実すぎて、依頼主の部屋を滅茶苦茶にしてしまったりと、シロウト探偵の暴走が毎回とんでもない騒動をひきおこす爆笑ユーモア・ミステリ連作集。



やあ、これはとてもいい狂人ですねっ!


愉快極まるバカミスとしかいいよーがない逸品。全編にわたって探偵(?)モーランと、その探偵講座の先生との書簡で構成されているとゆー割と凝った作りになっているのですが、このやりとりがもうとてもとてもイイ味だしていてああもう最高だっ!モーランが介入する度に事件が予想もしない地点へ向かって動き始めるのが実にイイ。そして犯罪計画が冗談のような結末を迎えてしまう犯人があまりにも気の毒すぎる(;´Д`)


これはもうユーモアミステリの決定版と言っても過言ではないんじゃね?と、思ってしまう程に狂気あふれる愉快なバカミススラップスティック調のお話がお好きな方は必読でしょ、と強く主張したいところですっ!(ずぅむ、と身を乗り出しつつ)