小説感想 マイケル・グレゴリオ「純粋理性批判殺人事件」(上下巻)



純粋理性批判殺人事件〈上〉 (角川文庫)

純粋理性批判殺人事件〈上〉 (角川文庫)



純粋理性批判殺人事件〈下〉 (角川文庫)

純粋理性批判殺人事件〈下〉 (角川文庫)


19世紀、霧の立ちこめる街ケーニヒスベルグを恐怖のどん底に陥れた連続殺人事件を追う若き判事に助けの手を差し伸べたのは世紀の哲学者カントだった!折しもナポレオンはプロイセン侵攻を準備。スパイ疑惑が政情を揺さぶる中、跪いた死体に残された唯一の手掛かり「悪魔のかぎ爪」を追うカントは、目撃者アルビノ助産婦に辿り付くが・・・。世界中の出版エージェントの度肝を抜いた大型新人デビュー作、壮大な歴史ミステリ!



タイトルがもうキワモノ極まりないゆえ、「きっと愉快なバカミスに違いない」と思い込んでドキをムネムネさせつつ読んだのですけれども。ですけれども・・・ッ!


めっちゃ普通やん!


いやもう、真っ当も真っ当ですよ。カント哲学を題材とした、割と普通の歴史ミステリでした。カント哲学(批判哲学ね)の知識があればもっと楽しめたのかなぁ。ほとんど知識なしのワシでも愉快に読めたので、無いなら無いでまったく問題はなく楽しめるとは思うけど。


ワシ的にはカントが殺人犯とものすごい哲学論争を繰り広げたり、殺人現場で「批判哲学による帰納推理」とか訳のわからぬ怪しげな推理法で犯人を追い詰めたり、推理の決めセリフは「そうだ、コペルニクス的転回だ・・・ッ!」だったらいいなぁ、とゆーよーな内容を期待していたのですが・・・ま、それはさすがに妄想がすぎたか。(アナタいつもそんなことを考えているんですか)


傑作とゆーレベルではないと思うけど、まーそれなりに楽しめるのではないかにゃ。重厚さはあまり感じられなかったけど、その分読みやすいとは思うし。またタイトルがタイトルなので、読んでおくと何かのネタに使えるかも?歴史ミステリとかキワモノ系がお好きな方はどぞ。


ちなみに下巻のあらすじ紹介はネタバレが酷いと思うので店頭でチェックの際はご注意をっ!(上記あらすじは上巻のみです)