小説感想 セオドア・ロスコー「死の相続」



死の相続 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)

死の相続 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)


ハイチに住む実業家が死に、屋敷には七人の相続関係者が集められた。「私の遺体は丘の上に深く埋め、棺には杭を打ちこむこと。財産は第一相続人にすべてを譲る。ただし、第一相続人が二十四時間以内に死んだ場合、第二相続人が権利を得る。第二相続人が二十四時間以内に死んだ場合には第三・・・」と奇妙な遺言が読み上げられる。遺言書をなぞるように屋敷では相続人が奇怪な死を迎えていき、そして最後に残された第七相続人に・・・。息詰まるサスペンスと驚天の仕掛けで読者を奈落に突き落とす黄金時代の異端児による怪作がついに登場!



最後の最後で正気に返りやがった・・・!


舞台はハイチ!ハイチと言えばブードゥー教ヴードゥー教といえばゾンビ!


「よし、じゃあ殺し合おうか」と言わんばかりの遺言!そして奇怪な死を遂げていく登場人物!すげぇサスペンス性!


「ゾンビじゃ!ゾンビの仕業じゃ!おそろしやー!」とゾンビ暴動発生!そして混乱の中ゾンビが降臨ーッ!






・・・と後半までは素晴らしくパーフェクトなバカミスっぷりを見せていたのに、どーして結末がこんなオチなんだよ(;´Д`) 大掛かりな手品ほどトリックはシンプル、とはよく言われているのでこのオチも十分予想範囲だったけどさ、何だか納得いかんよなぁ。うーん、小さいころ遊園地でぬいぐるみの中の人を見てしまったかのよーな違和感とでも言えばいいのか、実に微妙な読後感が残りましたとですよ。(ここまで暴走した話にしたんだから、オチもぶっ飛んだものにして欲しかったんだけど・・・)


でも良く出来ているとは思うっす。「『そして誰もいなくなった』まんまじゃん!」と言われれば反論しよーがないのですが、エンターテインメント的面白さは抜群だし、仕掛けもそれなりに効果的だと思うし。十分に満足でしたよ。広くお勧めできる作品だと思います。だがあまり過剰なバカ要素は期待するなっ!(それはお前だけだ)