小説感想 平石貴樹「スノーバウンド＠札幌連続殺人」

スノーバウンド@札幌連続殺人

北大受験を目指す17歳の浩平は、ナンパした久美子を誘拐して身代金を要求したが、翌日死体で発見。続いて捜査をあざ笑うように第2の他殺体が…。そして雪の中、ついに第3の事件が起こる。緻密に仕組まれた札幌の連続殺人事件に車椅子の美貌の弁護士・山崎千鶴がいどむ、その結末は?誘拐事件のもつれか?あやしげなPJ教団のしわざか?名探偵が解決をあきらめた事件の真相とは？―──「本格もの」にこだわりつづける著者が雪の札幌を舞台にくりひろげる満足過剰な本格推理。

渋い。だがそれがいい。


「サロメの夢は血の夢」に続き、山崎千鶴弁護士が探偵役を務めるシリーズ第2段。「笑ってジグソー、殺してパズル」や「誰もがポオを愛していた」あたりのニッキ･シリーズに比べるとちとロジックに淫した感が減少しておりますが、その点を他の要素で補っているので従来のファンにも納得の濃いミステリに仕上がっておりました。


「サロメ〜」で取り入れていた手法『登場人物の内的心情をそのまま書く』がちと空振りしていたのを反省したのか、今回は『登場人物の回想録』とゆー形に手法に変更。これが中々効果的に働いており、読了後に「うまいなぁ」と唸らされましたとですよ。終章で展開されるロジックも読み応えばっちりだったしね。


氏のファンはもとより、氏の作品未読の人にもお勧めしやすいと思います。地味だがな！