小説感想 ジェームズ・アンダースン「血染めのエッグ・コージイ事件」



血染めのエッグ・コージイ事件 (扶桑社ミステリー)

血染めのエッグ・コージイ事件 (扶桑社ミステリー)


1930年代の英国。バーフォード伯爵家の荘園屋敷に、テキサスの大富豪、大公国の特使、英海軍少佐など豪華な顔ぶれが集まる。やがて嵐の夜に勃発する、宝石盗難事件と、謎の連続殺人。犯人は15人の中にいるはずだが、手がかりは庭に残された、血のついた茹で卵覆い(エッグ・コージイ)だけ・・・。復古的な舞台立てと、ロジカルな推理、けれん味あふれるトリック、そして意外な結末。70年代に黄金期本格の味わいを復活させた作品として名高い、伝説のパズラーが待望の復刊!



お美事!お美事にござりまする!


ぶはははは!何じゃこの豪快な物理トリックは!けれん味が溢れるにも程があるっつーか溢れすぎて溺れそうですよこいつぁ。いやー、このトリックは思いついても使用するのはちょっと躊躇うよなぁフツーは。恐るべしアンダースン。出来ておる。出来ておるぞこやつ・・・ッ!


・・・しかし狂っているのはトリックのみであり、それ以外の要素は全てまともであるとゆー罠。真相解明にあたる直前まで、「うーむ・・・なんて渋いミステリなんだ・・・」と思って読んでましたものワシ。ボリューム溢れる解決編で炸裂するロジックに酔いしれていたところ、突如暴露される衝撃のトリック。こ・・・こいつは反則だ・・・!この展開でこのトリックはないだろう・・・ッ!もうですね、これは思わず爆笑するしかありませんでしたともさ、ええ。・・・いかん想像したらまた笑えてきた(;´Д`)


序盤はちょいととっつき難かったけど、中盤以降は殺人事件に加え"生霊"による盗難騒ぎ、謎のスパイの正体など、やたらテンション高い展開が続き楽しく読めました。つーか後半は夢中になって一気読みしましたよ。翌日仕事だったってーのに(;´Д`) そしてこのオチ。完璧すぎじゃね?


実に訓練された良き本格ミステリ、ワシもう大好き。読了後の満足度はかなりなものだと思われます、ささ、本格ミステリ好きならば是非に。