小説感想 森見登美彦「太陽の塔」

太陽の塔 (新潮文庫)

私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった！クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に失踪する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

♪ぺ〜がさすふぁんたじ〜♪そうさゆ〜め〜だ〜け〜は♪だれも〜うばえ〜ないこ〜ころのつばさだ〜か〜ら〜♪


つーわけで非モテ男の脳内はファンタジーである、ということでFAなのですか、そうですか、そうなのですね（血涙）






えっと、最近（一部で）話題の森見登美彦、これが初トライとなります。


いやー、割とデフォルメされてはいますが、生々しい非モテ男のリアルライフっぷりには共感を感じえませんぜ(;´Д`) 何もかも痛々しい内容なんですが、読了した後にはかなり涼しげなそよ風にも似た爽やかさが残る、奇妙な印象がある実に愉快な作品でした。ぬぅ、森見登美彦、できておる･･･！


しかし本作、非モテ男たちが繰り出すセリフは実に神がかっているよなぁ。ちょっと引用してみましょ。

何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。

我々の日常の90パーセントは、頭の中で起こっている。

みんなが不幸になれば、僕は相対的に幸せになる。

とか。ワシも何時果てるとも分からぬ法界悋気の泥沼の中で、これらのセリフを積極的に活用していきたく思う所存。（やめておけ）