小説感想 マイクル･コナリー「ブラック･ハート」（上下巻）

ブラック・ハート〈上〉 (扶桑社ミステリー)

ブラック・ハート〈下〉 (扶桑社ミステリー)

11人もの女性をレイプして殺した挙句、死に顔に化粧を施すことから"ドールメイカー（人形造り師）"事件と呼ばれた殺人事件から4年───。犯人逮捕の際、ボッシュは容疑者を発砲、殺害したが、彼の妻が夫は無実だったとボッシュを告訴した。ところが裁判開始のその日の朝、警察に真犯人を名乗る男のメモが投入される。そして新たにコンクリート詰めにされたブロンド美女の死体が発見された。その手口はドールメイカー事件と全く同じもの。やはり真犯人は別にいたのか？人気の本格ハードボイルドシリーズ第3弾！

コナリーは化け物か･･･！


シリーズ前作「ナイトホークス」「ブラック･アイス」も結構な面白さでしたが、本作の面白さはそれらとは段違い。何を掴んだのかは知りませんが、突然化けやがりましたよコナリーさん。恐るべきサスペンス、後半の怒涛の展開、そしてどんでん返し、単なるハードボイルド小説と思って見過ごすよーではちょっとあまりに勿体ないかと。一旦読み始めるとぐいぐいページを捲らされ、気付けばあら不思議一気読み間違いなしの傑作でございます。


とにかく本作はキャラクターと謎のバランスが絶妙。裁判で争うことになるチャンドラー弁護士（通称マネーと言われる所以がまたステキ）とボッシュのやり取りを始め、ドールメイカー事件の真相解明、コンクリート･ブロンド事件の捜査（模倣犯罪？それとも？）など、あらゆる要素が絡み合い怒涛の結末へ雪崩込む様はただただ圧巻の一言。この恐るべき展開にもうワシは「コナリーすげぇなぁ」とただただ恐れ入るばかりですよ。いやもうゲップが出るほどに堪能いたしました、ああもうコナリー最高だっ！


未読の方はぜひぜひ。（本作から読んでも問題ないですよん） つーかジェフリー･ディーヴァー好きな人ならきっと気に入ると思うとです。