小説感想 パトリック・A・ケリー「幽霊に怯えた男」



幽霊に怯えた男 (創元推理文庫)

幽霊に怯えた男 (創元推理文庫)


わたしの名はハリー。こう見えてもプロのマジシャンだ。仕事がら超常現象の類は信じないが、今回興行に訪れたペンシルヴァニアの田舎町で、おかしな男に出会った。最近幽霊に悩まされているので、その真偽のほどを調べてみてはくれないか、というのだ。どうせだれかの悪戯だろうと踏んだわたしだったが、男は翌日ビルの屋上から身を投げ、謎めいた墜死を遂げてしまった。幽霊に怯えたあげくの自殺?冗談じゃない。この裏には、きっと何かがあるにちがいない・・・!軽快な筆にのせて奇術師ハリー・コルダーウッドの活躍を描く、シリーズ第一弾。



おおぅ、中々に愉快なミステリじゃないですか。


古本屋さんで「面白ければいいなぁ」と手にとった本書でしたが、これが結構な良作でワシ大喜びですよ。探偵役・ハリーの1人称で展開するストーリーはどことなくハードボイルドちっくな印象を受けないでもないですが、解決編で関係者一同を集め「さて皆さん」とやり始め、きっちり作中の伏線にケリをつけていく様には惚れる以外にどーしよーもないとゆーものです。しかもその解決編のシチュエーションが微妙に狂っているっつーか大いに愉快なのがまたステキ。いくら探偵役の中の人が奇術師だからって、こりゃーちょっとやりすぎなんじゃねーの?


ワシ的には結構楽しめた作品なのですが・・・。世間的には不評だったのか、シリーズは3作しか出てないよーなんだよなぁ。とりあえず積んでる「超能力者が多すぎる」を読んで見ますかにゃ。