小説感想 射逆裕二「情けは人の死を招く」

情けは人の死を招く

「完全なる連続殺人」を女装探偵・狐久保朝志は崩せるか？


湯河原のリゾートマンションで起こった大学教授撲殺事件。斉藤和樹と皆井順子は偶然の再会からこの事件に巻き込まれてしまう。しかも、マンションはそれ自体が巨大密室の様相を呈していた。容疑はマンションの住人および関係者に向けられるが、決め手となる手がかりがみつからない。しかも第二の悲劇が発生、真相は混迷を極めることに･･･。そこに滞在していた最もあやしい女装マニア・狐久保朝志はこの二つの惨劇に不審な点を見出し、独自の調査を開始するのだが。構築された二つの密室。複雑な人間関係に隠された愛憎劇、巧妙に仕組まれた完全犯罪の真相は?巧みなトリックと大ドンデン返しで、読者を挑発する射逆ミステリワールド･女装探偵狐久保シリーズ第2弾。

また禁じ手スレスレ（？）を持ってきやがって･･･っ！


･･･いやまぁ、禁じ手か否かは読んだ人間の印象で変わるんでしょーけど。ワシとしては前作「殺してしまえば判らない」同様、作中で繰り出されたあるトリックに関しては「そりゃねーよ」的印象を抱いた次第ですゆえ、本作もめでたくバカミス認定したいと思いまする。


でもまぁ、正直内容については微妙。推理するためのキモとなる情報が解決編途中までまったく明らかにされねーってのはちょいと構成上よろしくないよなぁ。あと本筋とはあんま関係ないけど、語り手の極まったニートっぷりはどーにかならんかったのか。読んでて「こ、殺してぇ･･･ッ！」と思ったり思わなかったりしてしまうゆえ、これは精神衛生上よろしくないですよ(;´Д`) まぁこれも、読み手によって印象が変わるんだろーけど。


前作同様、正直お勧めできるブツではありませんが･･･。やはり何か光るものが見受けられますゆえ、ワシとしては次回作も一応トライしてみるつもり。（なんだかんだでNOBさんは本作がお気に入りのよーです)