小説感想 ダーウィン・L・ティーレット「おしゃべり雀の殺人」



おしゃべり雀の殺人 世界探偵小説全集 (23)

おしゃべり雀の殺人 世界探偵小説全集 (23)


「雀がしゃべった・・・」
謎の言葉を残して老人は息絶えた。それが恐るべき連続殺人の始まりだった。
ヒトラーが政権を掌握、ナチスユダヤ人襲撃が頻発する緊迫した状況下のドイツの古都ハイデルベルクで、アメリカ人技術者が巻きこまれた謎の殺人事件。
毎日決まった時刻に松の木に敬礼する男、主人公をつけねらう不気味なナチの指導者・・・。
次々に降りかかる難問を解決して、果たして無事アメリカ行きの船に乗ることができるのか。
1934年、迫りくる戦争の影のなか発表され、ドロシー・セイヤーズが絶賛した異色ミステリ。



確かに異色作。


冒頭の雀が喋るとゆー何とも幻想的な出来事から開始するミステリ。「どーせ大した意味ないんだろ」と思っていたらちゃんとそれなりの意味を持たせた解決でワシ正直びっくり、何と言う島田御大に通じる本格観・・・ッ!


・・・でも正直、意味は持たせていてもその内容が本格ミステリとして効果的に働いたかどーかはちょいと疑問。なんつーか、本格ミステリとしてのフォーマットっつーよりはサスペンスよりの内容なんだよなぁ。ナチスが台頭し始めた頃のドイツの時勢の描写とか、息詰るよーな緊迫感はめっちゃ感じられてドキドキしながら凄く楽しくは読めるんだけど・・・。ガチの本格を期待していたのでちょい肩透かしを食った気分っす。(まぁそれはワシの読み方が悪いのかも知れませんが)


本格ミステリとしてはちょいと「うーん、ちょっと・・・」とゆー感じがしないでもないですが、作品から感じられるインパクトは半端じゃありませんので読んで損した、とゆーことは無いかな。十分面白いと思います、この世界探偵小説全集のシリーズ読んでる人なら楽しく読めるかと。