小説感想 カーター・ディクスン「魔女が笑う夜」



魔女が笑う夜 (ハヤカワ・ミステリ文庫 6-8)

魔女が笑う夜 (ハヤカワ・ミステリ文庫 6-8)


トークドルイドの村は奇怪な事件に揺れ動いていた。村外れにそびえる異形の石像にちなんだのか、<後家>と署名された中傷の手紙が次々と村人に送られてくるのだ。そのあまりの内容に、自殺者までが出ている。たまたま村に来合わせたH・M卿の眼力をもってしても、<後家>の正体は明らかにならないが・・・平穏な村を恐怖で包み込む姿なき怪人の目的とは?H・M卿登場の本格推理。改訳決定版(『わらう後家』改題)



「賢い人間なら小石をどこに隠すかな?」
「浜辺でしょう」
「賢い人間なら樹の葉はどこに隠すかな?」
「森のなかですよ」
「賢い人間ならバカトリックの伏線をどう張るかな?」
「おバカなシチュエーションのなかですよ」


・・・と某神父さんが言ったよーな言ってないよーな気がしますが、とりあえずカーはほんと天才だと思うんだ。つーかこのユーモアセンスはちょっと他のミステリ作家では出せないよなぁ。仕込みに仕込んだネタの果てに待っていた、ラストシーンにおける教会のバザーのシーンはミステリ史に語り継がれるべきシーンだと思うとです。読んでて呼吸困難になりそうなほど笑っちまったよ。いやほんとに。


でも脱力もののバカトリックがネックになっているのか、世間での評判は今ひとつのよーなんだよなぁ。ワシとしてはすげぇ楽しめたんだけど。。(一応ちゃんとトリックの伏線張ってるのがまた凄いのに) つーか今まで読んだカーの著作の中ではトップクラスに持って来たいほどに気に入ったんですが(;´Д`)


「ミステリはトリックこそ命」とゆー主義の人は本作は肌に合わないと思いますが、「小説として楽しめればおっけー」とゆー人ならばきっと楽しめると思います。あ、キワモノ好きのミステリスキーはもちろん必読な!