小説感想 ロバート・J・ソウヤー「ゴールデン・フリース」



ゴールデン・フリース (ハヤカワ文庫SF)

ゴールデン・フリース (ハヤカワ文庫SF)


宇宙旅行都市計画の一環として、47光年かなたのエータ・ケフェイ星系第四惑星コルキスをめざすバサード・ラムジェット宇宙船<アルゴ>。コンピュータ"イアソン"が完璧に制御しているこの船で、一人の女性科学者が死亡した。事故死?自殺?それとも・・・。自殺だというイアソンの主張に疑いを抱いた前夫が単独で調査を始め、困難の末にあばいた驚愕の真相とは? "感情を持つコンピュータ"をリアルに描いた話題作!



SFとミステリが見事に調和したナイスな作品。


SFを味付けとして使った倒叙ミステリかと思っていたら・・・。なんつーか、前に読んだ「イリーガル・エイリアン」でもそーだったけど、突如としてネタのスケールが壮大になり骨太のSF作品へとメタモルフォーゼを遂げてしまう、ってゆーのは読んでて圧倒されるよなぁ。この「うは、そんな話だったのん?」とゆー読書体験は実に良い、ほんと心地よいっす。ミステリとしての着地点、SFとしての奇想、そして印象に残るラストシーン、もう大満足。


あと作品全体のユーモア感がまた素晴らしすぎ。ワシが一番気に入ったのは13章(ネタバレに直結しそうなので内容は伏せます)なのですけど、これは読んでてニヤリ笑いが止まりませんでしたよ。とりあえず、イアソン萌え。(萌えゆーな)


ワシのよーなSF素人でも楽しめる内容でしたゆえ、普段SFを敬遠しがちな方にもオススメできる作品かと思われます。ささ、興味を持たれた方は是非に。