小説感想 マイクル・コナリー「トランク・ミュージック」(上下巻)



トランク・ミュージック〈上〉 (扶桑社ミステリー)

トランク・ミュージック〈上〉 (扶桑社ミステリー)



トランク・ミュージック〈下〉 (扶桑社ミステリー)

トランク・ミュージック〈下〉 (扶桑社ミステリー)


ハリー・ボッシュが帰ってきた!ハリウッド・ボウルを真下に望む崖上の空き地に停められたロールスロイスのトランクに、男の射殺死体があった。<トランク・ミュージック>と呼ばれる、マフィアの手口だ。男の名はアントニー・N・アリーソ、映画のプロデューサーだ。どうやら、彼は犯罪組織の金を<洗濯する>仕事に関わっていたらしい。
ボッシュは被害者が生前最後に訪れたラスヴェガスに飛ぶ。そこで彼が出会ったのは・・・。



よし、まず前知識無しで読みたければ裏表紙のあらすじは読まない方が吉だと思うんだ。でないと、作中のちょっとしたサプライズが楽しめないぞよ。(つーか知っててもそんなに問題はないと思うけど・・・)


本書はボッシュ・シリーズ第5作。「ラスト・コヨーテ」事件の後、とゆー設定なのですけど・・・。まぁボッシュの環境が激変していることにワシ吃驚ですよ。これまでのシリーズでは冒頭から問題を起こして「あぁ、いつもどーりのボッシュだなぁ」と安心して導入部読めたのに、今回は「そんなんボッシュちゃうわい!」と胸倉を掴んで揺さぶりたくなるよーな落ち着きぶり。既刊ではボッシュの単独捜査っぷりが際立ってましたが、本作はボッシュも割とチームの一員として機能しているので、何だか読んでて異様な違和感を持ちました(;´Д`) (い、いやこれでよーやく普通の警察ミステリになったんですけど・・・)


シリーズ前作である「ブラック・ハート」「ラスト・コヨーテ」があまりにも神がかったクオリティだったので、今回は期待半分不安半分でいたのですが・・・。や、十分面白かったですぜ。そりゃー前述の2作と比べるとちょいと落ちた感があるけどさ、グイグイとページを捲らされるそのストーリーテリングっぷりは健在。シリーズ読んでる読者には中盤にちょっとしたサプライズが用意されているのも嬉しいところです。


つーわけでオススメ。・・・とはいえ、シリーズ5作目だからなぁ(;´Д`) 途中から読むよりは1作目から読む方が絶対楽しいと思うけど、さすがにハードルが高い感は否めないよな。海外ミステリ、とりわけどんでん返しがあるミステリがお好きな人(J・ディーヴァーが好きな人とか)はきっと気に入ると思うのでワシとしては是非試してみて欲しいシリーズです。