小説感想 ローレンス・ブロック「怪盗タナーは眠らない」



快盗タナーは眠らない (創元推理文庫)

快盗タナーは眠らない (創元推理文庫)


私はエヴァン・タナー。戦争で脳に受けた銃弾のため、眠りを失ってしまったが、それを利用してあらゆる言語を習得、さまざまな組織と人脈をつなぎ、万巻の書から膨大な知識を蓄えている。ある日、ニューヨークで出会ったアルメニア人ダンサーから、私は驚くべき情報を得る。1922年、ギリシアとトルコの交戦中、ギリシア軍を支援していた彼女の曾祖父が、大量の金貨を隠したというのだ。眠れないハンディキャップを逆手に取り、博識と語学力を武器に、私は金貨を手中にすべくトルコを目指す。しかし入国するや、秘密警察による投獄の憂き目に!奇抜なヒーローの胸のすく大活躍。ブロック初期の痛快シリーズ、ここに開幕!



うーむ、おバカ。


つーか何ですかこのカオス極まりないストーリーは(;´Д`)


上記あらすじからワシ、何となく「スパイものっぽいねぇ」と思っていたんですけど・・・。実際は予想もつかぬキレた展開の連続でワシもう爆笑につぐ爆笑ですよ。(こんな展開予想できねーよ!) 世界観の狂気っぷりと、登場人物の大真面目(タナー含む)っぷりが何とも言えぬ極上のハーモニーを醸し出しており、結果として絶妙のバカミスとして仕上がっているまさに奇跡と呼ぶに相応しい怪作。つーか本作のよーなアプローチのバカミスはあんまり読んだ覚えがないので、かなり新鮮に感じましたよワシ。これは是非とも続編を希望。


つーわけでキレたお話が読みたいバカミススキーは必読かと。つーても、そんなにバカミス濃度は高くないと思う(?)ので、普通に愉快な話が読みたい小説スキーな方にもオススメです。ワシはものすげぇ好き。