小説感想 柄刀一「密室キングダム」



密室キングダム

密室キングダム


本格ミステリーは時代から逃げない。すべての推理小説愛読者に贈る、正々堂々たる大長編本格推理!


1988年、札幌。伝説的な奇術師・吝一郎の復帰公演が事件の発端だった。次々と連続する、華美で妖艶な不可能犯罪!吝家を覆う殺意の霧は、濃くなるばかり。心臓に持病を抱える、若き推理の天才・南美紀風が、悪意に満ちた魔術師の殺人計画に挑む!



超王道のガチ本格ミステリ


とりあえず本格ミステリが好きならばスルーするのはちょっと勿体ないぞ、っつーのがワシの結論です。「密室」に真正面から取り組んだ、王道も王道、剛速球ど真ん中の本格。900ページ超えの超大作にも関わらず、中だるみが一切感じられない(人によっては感じるかもですが、ワシは全然感じませんでした)のはちょっと凄いよなぁ。休日使って一気に読んじゃいましたよ。


内容はとにかく密室・密室・密室。発生する事件全てが密室殺人。どの密室もトリックのクオリティが高く、またその演出やトリックを利用する派生トリック(この辺の構成が実に見事)も素晴らしいとくれば、もうこれは密室ミステリファンには感涙ものなのではないかと。また大長編であることを考慮したのか、「事件発生 → アリバイ調べ → ディスカッション → トリック判明(でも一部謎は残る) → 次の事件発生」とゆーシークエンスでストーリーが展開するのもワシ的にはポイント高し。これだけ長い話だと、途中途中である程度はトリック解明してくれないとワシの足りない脳みそでは正直内容を覚えてられないからなぁ。途中で事件を整理できるのは有難いっす。


そしてある程度謎が解明されているにも関わらず、解決編ではサプライズな展開が待ち受けるとゆーこの大盤振る舞いっぷり。そのネタも作中きっちり伏線を張っていて、ネタが炸裂した瞬間ワシもう思わず「や、やられた・・・!」とありえないほどのカタルシスを感じてしまったのでしたとさ。


つーわけでワシとしては大絶賛です、この作品。突っ込みどころはあるかもしれないけど、そんなものは瑣末なこと。ワシは十分過ぎるほどに楽しめました、なら当ブログをチェックして下さっている方もきっと楽しめるはずだっ!本格ミステリがお好きならば是非是非。






・・・しかし、何気にバカミス風味なんだよなぁコレ(;´Д`)


タイトル「密室キングダム」からしてイイ感じだし、また起きる事件が全て密室殺人とゆーところも偏執狂的であり即ち狂気がかっていてイイ感じだし。そして最後に炸裂したトリックとか犯人の動機とかも良く考えるとちょっと愉快だし。(と、思うのはワシだけ?ワシだけ。だろうなぁ・・・)