小説感想 イアン・ワトスン「スロー・バード」



スロー・バード (ハヤカワ文庫SF)

スロー・バード (ハヤカワ文庫SF)


垂直につづく岩壁世界の十人の暮らしぶりは?21世紀の銀座のクラブを舞台にした悲しきラブロマンスはいかがでしょう?夢の中にお菓子のCMが出てきたら、どうしますか?誕生日に良心から"世界"をプレゼントされた女の子のお話は?空中から出現しては消える<バード>が跳梁する世界で、スケート大会を観戦しませんか?英国SF界きっての鬼才ワトスンが、あなたを驚異の旅に案内する日本版オリジナル傑作集。



かる〜いノリの作品から重苦しいことこの上ない作品まで、多種多様な作品をセレクトした短編集。ワシはSFは素人ですゆえ、もちろんイアン・ワトスンはこれが初トライとなったわけなのですけれども・・・読んだ感じとしては「アイディアありき」っつーか「とりあえず思いついたネタは放り込む」っつー印象を受けました。つーかネタの濃度がハンパじゃねー!この奇想っぷりにゃぁ、ワシ思わず眩暈がしましたとですよ。


まぁネタの濃度については上記あらすじを読んでもらえば、ちょっとでもその片鱗を感じられるのではないかと愚考するのですけれども・・・。それにしてもまぁ、軽い作品と重い作品の落差が激しいよなほんと。ま、一番気に入ったのは「二〇八〇年世界SF大会レポート」なんだがな!これぞバカの極み。何気に作品から感じられる世界観の退廃っぷりがステキ極まりないっす。次点は「大西洋横断大遠泳」で。「ジョーンの世界」「スロー・バード」のよーな話も好きだなぁ、つーか良く考えると外れの話がなかった気がするんだぜ?うん、これはいい短編集。


つーわけでワシとしては大いに堪能。でも「奇妙な味わい」を期待して本書を読むとちょいと肩透かしを喰うかもだ。(でもそんなにハードなSFっつー感じは受けなかったので、多分問題なく楽しめると思うけど・・・)