小説感想 エリザベス・フェラーズ「細工は流々」



細工は流々 (創元推理文庫)

細工は流々 (創元推理文庫)


ある晩、突然トビーを訪ねてきた娘は、理由は聞かずに15ポンド貸してくれないか、といった。翌日、トビーは匿名の男からの電話で、彼女が殺されたことを知る。"時々、殺してやりたくなる"くらい、お人好し人を疑うことを知らなかった彼女が、どんなトラブルに巻き込まれていたというのか?警察に嫌がられながらも、現場となった屋敷を調べたところ、奇妙な仕掛けが見つかった。どうも、推理小説に出てくるようなトリックをいろいろ試している奴がいるらしい。はたしてその正体は?そして、事件との関係は?大好評のシリーズ第三弾。



こーゆー作品があるから、海外の古典(?)ミステリを読むのは止められないよなぁ。いやほんと、実に面白かったです。癖のある登場人物たち(そしてかなり魅力的)、殺人予行演習の跡とゆー謎、作品に漂う上品なユーモア感、どれを取っても素晴らしいの一言に尽きますぜ。作中、ジョージ(トビーの相棒です)が突然耳の不調を訴えるんですけど、まさかそれが重要な伏線の一つになっているとは・・・っ!(この理由はとても想像できねーよ!すげぇぜフェラーズ!)


最終ページまでフェラーズの技巧に酔いしれることができる、ワシ的には極上の逸品でした。つーわけで海外本格ミステリ好きならば抑えておいて損はない作品かと。このシリーズに初めて触れる人はその「探偵と助手」のパロディっぷりにニヤリとするがよかろーて。