小説感想 川又千秋「幻詩狩り」
- 作者: 川又千秋
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/05
- メディア: 文庫
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その"詩"を読んではならない。狩りたてろ。
1948年。戦後のパリでシュルレアリスムの巨星アンドレ・ブルトンが再会を約した、名もない若き天才詩人。彼の創りだす詩は麻薬にも似て、人間を異界に導く途方もない力をそなえていた。この世には、けして読んではならない詩が存在するのだ・・・。時を経て、その詩が昭和末期の日本で翻訳出版された。そして、それを読む者たちは、ひとりまたひとりと詩に冒されていく。言葉のもつ魔力を描いて読者を翻弄する、川又千秋ならではの言語SFの粋。日本SF大賞受賞作。
川又千秋氏と言えば戦記ものの作家さん、とゆーイメージなワシだったのですが・・・。こーゆーものも書く人だったのかぁ。いやもう脱帽。そして五体投地。恐ろしいまでのホラーっぷりであり、予想のナナメ上を行くSFっぷりでしたぜ。終盤における予想外のスケールUPにゃぁNOBさん口あんぐりですよ。人によっては「これはねーよ」と思われるかもしれませんけど、ワシはこーゆーの大好きだなぁ。こーゆー無茶な展開をしてこそのSFよ。
作中で触れられる"詩"については序文程度しか読むことができないんですけど、その殆ど書いてないってことが逆に想像力を刺激し、読み手にじわりと恐怖感をもたらすっつー作りが実にナイス。"詩"に取り付かれていく人々の描写とか、読んでてゾクゾクしましたよ。(この辺も割とさらりと流しているので、もちっとページを割いてほしかったかも)
こんなステキな本を復刊してくれた創元SF文庫の仕事っぷりにはぐっじょぶ、とゆー他ありません。めっちゃ面白かったです、ささ未読の人は是非是非。