小説感想 エドワード・D・ホック「サム・ホーソーンの事件簿Ⅴ」



サム・ホーソーンの事件簿〈5〉 (創元推理文庫)

サム・ホーソーンの事件簿〈5〉 (創元推理文庫)


町の創立百周年記念行事の一環として、ホーソーン医師が初めて解決した「有蓋橋の謎」事件を再現している最中、被害者役の視聴が銃弾に倒れた。再び現場となった橋は、群集に見守られる密室状態だった・・・(「有蓋橋の第二の謎」)。そのほか、目撃者の前で爆弾にすり替わっていた本、二十年間地中にあった柩から発見された殺害後まもない死体など、世が第二次世界大戦を迎えても、相も変わらず続発する謎また謎が医師を悩ませる。恒例のボーナス短編は、名警部自身が殺人の容疑者となる秀作「レオポルド警部の密室」。不可能犯罪連作集、第五弾。



いつもどーりの安定っぷり。


「こ・・・こいつぁキてる!」っつー話もなけりゃ、「うーん、何じゃこりゃ」っつー話もない、高レベルで安定したいつもどーりの不可能犯罪オンパレードの高クオリティ短編集。とりあえず不可能犯罪と聞くと無条件でハァハァしてしまう方は、本書を読んでその渇きを癒すといいと思うんだ。


・・・とはいえ、収録作の完成度はどれも高い反面、なんつーか文章が簡潔すぎる気がしないでもない(無駄がない文とでもゆーのかな)ので、本格ミステリ偏愛者でない人が読むと拒否反応を起こすかもですよ。そーっすね、天城一氏の短編とか読んで、肌に合わないなぁと思われた方にはちょっと辛いかもです。本作からシリーズに入ろうと思う方(いるの?)は、読む際にはそのあたり留意されたし。


今回の収録作の中では「幽霊が出るテラスの謎」がワシ的にはベストかなぁ。このトリックの狂気度は異常だぜ・・・っ!(意訳:なんて すごい バカミス。)