小説感想 北野勇作「クラゲの海に浮かぶ舟」



クラゲの海に浮かぶ舟 (徳間デュアル文庫)

クラゲの海に浮かぶ舟 (徳間デュアル文庫)


科学者になりたかった。科学者になって怪獣を創りたかったのだ。───どんなものでも創れるシステム。なんでも売っているデパート。人に夢を見せてくれる機会。大人になったぼくは「会社」の技術開発部に所属して、新しい生き物を作る研究をしていた。だが、意に反した彷徨で進められることになった研究の続行を拒否し、会社を去ることになってしまった。そのせいであれに関する記憶のすべては、会社によって破壊されることに・・・。新感覚サイバー・ワンダー・ワールド!!



やっぱり北野勇作はすげぇ!


何となく読み手にノスタルジーさを感じさせるほのぼのとした作風でありながら、内容は実にハードなSF。(ある意味ホラーかっ?)


つーか一読した限りでは、正直よーわかりませんでしたよ。(;´Д`) ・・・いや、わからんつーか内容が整理できんつーか。なんとなーくわかった気になりはするのですけど、よくよく考えると「???」な感じがするあたり、懐が深い作品とゆーか。そんな不可思議な読後感を残す、実にインパクトのあるお話でした。この独特の感じは、まさに北野勇作氏にしか出せぬ味ですにゃ。


クラゲだのエイだのとゆーモチーフを操りつつ、人の記憶や世界の現実を激しく揺さぶり、みょーに落ち着かない気持ちにさせる。うーん、この感覚はやっぱすげぇよなぁ。この味は他の作家さんでは出せないと思いますので、興味のある方は入手難易度が低い「かめくん」とか「どーなつ」あたりに手を出してみると幸せになれるかも?