小説感想 ジェフリー・ディーヴァー「石の猿」



石の猿

石の猿


蛇頭の手引きで米国密入国を図った中国人が船ごと爆殺された。犯人は11人殺害容疑で国際指名手配中の蛇頭の殺し屋・ゴースト。科学捜査専門家ライムとNY市警察官サックスが謎を追う、「リンカーン・ライム」シリーズ第4弾。


不法移民は“すでに世に亡き者たち”。蛇頭に金を払わなければ、殺される。文句を言えば、殺される。この世から消えたきり、二度と見つからない。



うーん、面白かったけどちょい物足りないなぁ。


シリーズではお馴染みとなった執拗なまでの科学捜査でゴーストを追い詰めていくプロセスは読み応え十分だし、中国の大極的な思想をプロットに組み込んでストーリーを盛り上げる手法も見事だと思うけど、いかんせん犯人・ゴーストがちと小物過ぎじゃね?他のシリーズ作品「ボーン・コレクター」「コフィン・ダンサー」「魔術師」などに登場した名犯人に比べるとランク落ちるよーに思えるからか、息詰るライムとの知力戦!ってのがあんま感じられなかったんだよなぁ。ディーヴァー得意のどんでん返しもそんなに「返ったーっ!」ってゆーほどでもなかったし。(一応返りはしましたが)


とはいえ、本作では他のシリーズ作品にはない魅力があることも確か。とりわけ、ワシとしてはライムと中国人刑事の魅力溢れるやりとりが実に印象に残りました。途中1章分を使い延々と会話するシーンがあるんですが、読了後に再度そのシーンを読み返すとこれがまぁ泣ける泣ける。シリーズの中でも屈指の名脇役と言えるキャラだよなぁ・・・。


シリーズの中だとちと落ちる内容かも知れませんが・・・。十分エンターテインメントしていますので、まぁ安心してオススメできる作品です。このシリーズは順番に読まねばならぬ、とゆーことはないのでシリーズ未体験の方も気軽にトライしては如何?