小説感想 赤城毅「麝香姫の恋文」



麝香姫の恋文 (講談社ノベルス)

麝香姫の恋文 (講談社ノベルス)


幻の青い薔薇の育種に成功したという富豪、神宮寺啓介のもとに、真に美しいものだけを狙う盗賊、「麝香姫」からの予告状、通称「麝香姫の恋文」が舞い込む。厳重な警備態勢のなか、届けられたのは第二の「恋文」! 麝香姫が盗み出したのは・・・? 一高教師間宮諷四郎と美貌の女怪盗の知恵比べの勝敗は!?爽快感動物語。



いかん、超ツボ。


作者のことばに「今回書いたこの本ばかりは大時代すぎるのではないか」とあるくらい、アナクロ極まりないコテコテのB級作品。つーか読んでるこっちが思わず赤面してしまいそーなくらいのベッタベタな王道展開で、ワシもう思わず感涙に咽び泣いてしまいましたよ。(ちょい誇張)


青い薔薇だの、予告状だの、謎の盗賊だの、素人探偵(?)だのと、これでもかとゆーぐらいに古式ゆかしい探偵小説を再現しているので、乱歩とかが大好きな人ならばきっと気に入ると思うなぁ。(つーかひょっとして本作は「黒蜥蜴」のオマージュ?)


しかもジャンル的には「ボーイ・ミーツ・ガール」と言えないこともない作品なので、このジャンルが大好物なワシとしては、本作はもう完璧といっても過言ではない内容。これはもうお腹を見せて降伏のポーズをとるしかありませんぜ。(だがその辺はかなりあっさり・・・つーか殆ど描写されないので、過剰な期待は禁物なんですが)


つーわけでワシ大満足。赤城氏の本はやっぱりいいなぁ。