小説感想 S=A・ステーマン「六死人」



六死人 (創元推理文庫 (212‐2))

六死人 (創元推理文庫 (212‐2))


五年経ったら再会して、稼いだ金をみんなで山分けにしよう。たとえ失敗した者がいても平等に分けるのだ。そんな取り決めのもと、大金持ちになる夢を胸に秘めて世界中に飛び立った六人の青年たち。そしていま、ある者は成功し、またある者は尾羽打ち枯らして、それぞれが帰国の途についていた。だが、そのうちの一人が客船から海に落ちて行方不明になってしまい・・・。
冒険小説大賞を受賞した著者の出世作にして、ヴェンス警部登場の本格ミステリ



創元推理文庫2007年の復刊フェア作品。


前々から読みたかった作品だったので、復刊は嬉しい限りですよ。1984年の出版で、今回が23年ぶりの再販なのかぁ・・・そりゃー入手できんわ(;´Д`)


で、感想なのですが思っていた以上に楽しめました、つー感じ。うかつなことを書くと即ネタバレ(多少訓練されたミステリ読みなら直ぐにピンときます)してしまう、何とも罪深い作品なのですが・・・。いや、ワシの場合はそれが逆にプラスに作用したか。知ってるがゆえに惑わされたっつーか・・・。


えっとですね、ワシ以前この作品のネタバレを踏んじゃったことがあるんですよ。辛うじて犯人の名前は回避したんですが、内容とネタについてはまだ忘れ去ることができておらず。そんな状況で読んだので、「あれ?こいつが犯人なんじゃね?」「・・・いやいや、こいつとゆー線も捨てられん」と勝手に右往左往、レッドへリングに見事に食いつき離れない有様。そんな状態で読み進めたため、割と最後まで良い感じで翻弄されてしまいました。


・・・つーかネタを知ってるが故に惑う/知ってないから惑わないっつー状態に関わらず、客観的に判断して良く作りこまれた本格ミステリだと思いますよこれ。読者を煙に巻くミスディレクション、高いサスペンス性、炸裂する不可能犯罪(?)、何でこんだけのグレードがあって長いこと絶版だったんだ orz


とりあえず、海外古典ファンならば読まれて損はない作品かと。ステーマンの他の作品も復刊してくれんものかなぁ・・・。(まずは以前入手した「マネキン人形殺害事件」を読んでみますかにゃ)