小説感想 クリスチアナ・ブランド「ぶち猫 コックリル警部の事件簿」



ぶち猫―コックリル警部の事件簿 (論創海外ミステリ)

ぶち猫―コックリル警部の事件簿 (論創海外ミステリ)


生前未発表だった幻のシナリオ、本邦初約の短編、極上のショートショート、ブランド自らコックリル警部について語ったエッセイ等、バラエティに富んだ<ケントの鬼>ことコックリル警部ものの作品集。『はなれわざ』『ジェゼベルの死』で著名な、女流本格の代表作家クリスチアナ・ブランドの生誕百周年を記念して贈る。



うむ、ぶっちゃけファン向け。


ブランドファンは大満足、そーでない方は不満足といった内容かなぁ・・・。正直なところ、万人向けじゃないよねこれ。(まぁブランドファン以外の方が本書を手に取ることはまずないと思いますけど (;´Д`) )本書は「招かれざる客たちのビュッフェ」に収録されている短編は除外してあるとゆー仕様なんだけど、せっかくコックリル警部の短篇集なんだから一緒に収録すりゃーいいのに。ビュッフェ収録の「婚姻飛翔」がめっちゃ好きなんだけどなぁワシ。でもまぁ、解説が山口雅也氏なのでそんだけでも十分に元は取れたよ、ワシとしては。(解説読んでるとなんだかとっても暖かい気持ちになれます)


ワシが思うに、ブランドの魅力といえば魅力的でありながらもまったく感情移入を許さぬ嫌キャラの造詣力、及び目眩めく推理と反推理の嵐といったところでしょうか。本書収録の短編を読むだけでも、そのブランドの魅力が十分に発揮されており、ファンの渇きを癒すに十分と言えましょう。戯曲「ぶち猫」はサスペンス調ながらもそのキャラクターのやりとりが如何にもブランド的だし、また「ロッキング・チェア」及び「屋根の上の男」では目惑うほどの展開で話に付いていくのがやっと、とゆーレベルの推理の嵐を堪能できるし。ショートショートの「アレバイ」も短いくせに異様なまでの存在感で、ブランドはやっぱ何をやらせてもスゲェぜ!とゆー気持ちにさせてくれます。


つーわけでブランドのファンならば読んで損なしかと。「ブランド?まだ読んだ事ないよ!」とゆー方は「招かれざる客たちのビュッフェ」、または「ジェゼベルの死」あたりから入るのがいいのではないかな、とワシは愚考するものでありますよ。(前者は本格以外の短編も収録されているのでご注意を。本格原理主義者の自認があるなら後者かな?)


つーかワシ、実はブランド作品、まだ全部読んでないんだよな(;´Д`) (ポケミスにしか収録されてない作品がまだ未読なのだ。文庫落ちしたのは全部読んだけど・・・)