小説感想 霧舎巧「新本格もどき」



新本格もどき (カッパ・ノベルス)

新本格もどき (カッパ・ノベルス)


記憶喪失の男がカレーを食べると名探偵に?
新本格の最終兵器、霧舎巧、炸裂。



霧舎巧新本格の名作を「もどく」!
記憶喪失の吉田さんはミステリマニアの店主が作るカレーを食べるたびに、新本格ファンなら思わずニヤリのあの探偵、この探偵になりきってしまう。が、その推理は・・・。
オリジナル作者公認、華麗なる「推理&もどき」の世界。



ナイスバカミスっ!


うむ、いい感じのバカミスです。有名著作のパロディー短編集(いや、オマージュか?)なので元ネタを知っていないとちと意味不明なところがあるでしょうが・・・。それなりに単独でも楽しめる本格ミステリに仕上げているところはさすが霧舎氏。とにかく本格ミステリへの愛情と読み手を楽しませてやろうとゆー読者へのサービス精神はピカイチかと。各短編のタイトルおよび探偵のパロディっぷりにゃぁ、確かに読んでて思わずニヤリとしてしまいますぜ。また探偵役(?)であるところの吉田さんが「何故カレーを食べると変貌してしまうのか?」の作中で語られた理由がかなりキていて思わず「それはアリなのか」と突っ込みを入れたくなりましたがまぁこれは別にいいか。(いいのか)


つーわけで、ワシとしてはかなり楽しめた短篇集でした。収録作では「三、四、五角館の殺人」の壮大なバカトリック、「長い、白い家の殺人」の意外性、「雨降り山荘の殺人」の妄想っぷり、「十三人目の看護師」のくだらねーオチ、この辺が特にお気に入りかな。ほんと面白かったので、この路線でまた作品書いて欲しいなぁ。