小説感想 グレッグ・イーガン「しあわせの理由」
- 作者: グレッグイーガン,Greg Egan,山岸真
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/07/01
- メディア: 文庫
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12歳の誕生日をすぎてまもなく、ぼくはいつもしあわせな気分でいるようになった・・・脳内の科学物質によって感情を左右されてしまうことの意味を探る表題作をはじめ、仮想ボールを使って量子サッカーに興ずる人々と未来社会を描く、ローカス賞受賞作「ボーダー・ガード」、事故に遭遇して脳だけが助かった夫を復活させようと妻が必死で努力する「適切な愛」など、本邦初訳三篇を含む九篇を収録する日本版オリジナル短篇集。
イーガンといえばハードな設定のSFを書く人であり異様に内容が難解である、っつーイメージがワシの中ではあるのですが、本書は割と読みやすかったです。そーいえば前に読んだ短篇集「祈りの海」も読みやすかった覚えがあるし、短編だと結構スタイルが変わる人なのかもしれんなイーガン。それとも短いから理解しやすくなるだけ?しかし読みやすいっつてもイメージを膨らませながら読んでいかないと話についていけなくなる感じではありますので、やっぱりハードル高い話になるのかな。内容的には異色短編風味(SF色強め)といえるシロモノだし、読了後の充実感はハンパではないものがありますゆえにワシとしてはかなりオススメしたい作品なんですけれども。
つーか読んでて思ったんだけど、イーガンってほんと宗教テーマが好きやね。あと人間の意識とは?とゆーテーマっぽいのも。今回の収録作、この2種で全部分類できそうな気がするのはワシだけ?収録作でインパクトがあったのは「道徳的ウイルス学者」と「しあわせの理由」かな。前者は「神」テーマを扱った作品で、なんつーか狂信は狂気だなぁと思わせるナイスな話。後者は「人の意識とは?」的テーマを真正面から扱った作品で、ラストの会話で痺れるまっことステキな作品でございました。面白かったですぜ。