小説感想 ギルバート・アデア「ロジャー・マーガトロイドのしわざ」



ロジャー・マーガトロイドのしわざ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1808)

ロジャー・マーガトロイドのしわざ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1808)


1935年、英国ダートムーア。吹雪のため、人々はロジャー・フォルクス大佐の邸に閉じ込められた。大佐、その妻と娘、ゴシップ記者、アメリカ人青年、女流作家、牧師とその妻、女優、医師とその妻。やがてゴシップ記者が全員の秘密を握っていることを示唆し、彼への憎しみが募るなか、悲劇が起こる。密室状況で記者が殺害されたのだ。被害者のポケットには不可解なアルファベットが記された紙片が。やがてセイウチ髭のトラブショウ元警部が駆けつけ、大佐が重大な告白を始める。「私の本当の名はロジャー」・・・・・・・・・ミステリの枠を打ち破る超ミステリ。


  _  ∩
( ゚∀゚)彡 バカミス!バカミス!
 ⊂彡



いやー、これはいい。実にいい。冒頭の「こんなことは本のなかだけの話だと思っていたのに!」とゆー文章からして素晴らしい。なんてったって全体の内容がクラシック・ミステリへのオマージュっぽく仕上がっており、何とも古典ファンにはたまらぬ作品となっているあたりがもうサイコーっ!(もちろん新本格のファンの方にも楽しめると思いますが) かつ全体にユーモアが溢れまくっており、突飛かつ愉快な尋問シーン、間延びしそうな場面で起こる新たな事件など、読者を楽しませようとする趣向があちらこちらにちりばめられており楽しく読みとおせるのもまたワンダフルですよ。犯人の意外性、そしてその狙いも凝っていて実にステキ。


そして炸裂するバカ密室トリック。このネタで吹きださない人間がいようか、いやいない。(反語)


ぶっちゃけた話、力技(?)の一発ネタであり、有名な先例もあるんですが・・・いやーこれは笑わざるを得ませんよ。詳しく触れるとネタがあっけなく割れるのですが、これは読んだ人間と語り合ってゲラゲラと笑いあいたいところです。いやもうほんと最高。読了して結構日が経ってるけど、まだ思い出すと笑っちゃうもの。


つーわけでバカミス好きならば必読、そーでない方も「バカミスってどんな感じなん?」とゆーとっかかりにするための必読の書、つまりワシ的には超オススメの本でございます。いやー笑った笑った。そしてかなり考えられた良きミステリでありました。