小説感想 マイクル・コナリー「暗く聖なる夜」(上下巻)



暗く聖なる夜(上) (講談社文庫)

暗く聖なる夜(上) (講談社文庫)



暗く聖なる夜(下) (講談社文庫)

暗く聖なる夜(下) (講談社文庫)


ハリウッド署の刑事を退職し、私立探偵となったボッシュには、どうしても心残りな未解決事件があった。ある若い女性の殺人と、その捜査中目の前で映画のロケ現場から奪われた200万ドル強盗。独自に捜査することを決心した途端にかかる大きな圧力、妨害・・・事件の裏にはいったい何が起きているのか?孤独な捜査を進める彼に貴重なヒントを与えてくれたのは、今は全身不随の身となった元刑事のクロスだった。が、その身辺にも危険が迫り・・・。たくさんのもつれた糸が絡み合い、人の心の闇を炙り出す!現代ハードボイルドの最高峰!



うむ、コナリーはやはり神。


本書は「このミステリーがすごい!」2006年版にて第2位を獲得し、また「IN☆POCKET」2005年度総合ランキングにて第1位の座を獲得している、コナリーのボッシュシリーズにおいては今のところ最高峰の評価を受けた作品でございます。つーわけでワシも大いに期待して本書に取り組んだ訳なのですが、まぁこれが前評判に偽りなしっつーか予想以上に面白いっつーか、「さすがはコナリーよ」と唸ってため息を吐くことしかできないくらいに素晴らしい内容でございましたことよ。


つーか刑事だろーが探偵だろーがボッシュさんはやっぱりボッシュさんであり、何ら行動に変化がないあたり実に痺れます。「LOST LIGHT」(迷い光)に導かれるよーに、憑かれたよーに、信念を貫き捜査を続ける彼の姿はまさにハードボイルド。毎度お馴染みである高いリーダビリティとプロットの捻りっぷりが職人芸を感じさせ、簡単に見えた事件は二転三転し、最終的に辿り着いた真相にボッシュはまたも打ちのめされるのですが・・・。本作のラスト(シリーズ読んできた読者には衝撃といっていいでしょ)にて明かされた事実にて、彼はついに「LOST LIGHT」を手に入れることができたのだろーか?それは次回作「天使と罪の街」にて明らかになるんだろーな、きっと。


本書だけでも楽しめるとは思うのですが、やはりシリーズものなので最初から取り組んでもらいたいところ。しかしシリーズも9作目ともなると正直オススメしにくくなるんだよなぁ(;´Д`) ボッシュシリーズは外れがないので(個人的にイマイチ、と思った作品でも標準のレベルは遥かに越えています)是非とも手を出してもらいたいんですが・・・。つーか海外ミステリに抵抗がないなら読んでくれ、くれよぅ。ほんと面白いって!